ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

「窓を開けたら墓地だった」——家賃が安すぎる賃貸物件(2/2ページ)

田中 あさみ田中 あさみ

2021/12/30

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

【嫌悪施設】
「窓を開けたら墓地だった」
「駅までの道のりに風俗店が立ち並ぶ」

など、多くの人にとって気持ちのよくない建物や危険を感じられる施設などは「嫌悪施設」と言われているが、こういった施設が近くにある物件も賃料が安いケースが多いようです。

筆者である私も、「引っ越しして間もなく近くに斎場ができた」という実体験をしたことがあります。特に気になる人は、賃貸物件を借りる際、不動産会社に聞くことや周辺の聞き込みは必要かもしれません。

「『嫌悪施設』の範囲はどこまで?」と疑問を感じる方もいらっしゃることでしょう。公益財団法人不動産流通推進センターのホームページでは以下の例が掲載されています。

出典/公益財団法人不動産流通推進センター「不動産相談」

【現行の耐震・防火基準を満たしていない】
21年12月17日に大阪市の雑居ビルで起きたクリニック火災事件では、多くの尊い命が犠牲となりました。

火災現場となったクリニックには、エレベーターと非常階段が共に出入り口付近にあったため院内にいた方々は逃げることができなかったと言われています。しかし、事件前の19年3月19日、大阪市消防局はビルに立ち入り検査を実施し、消防法に基づく定期検査で「問題ない」と判断していたそうです。

現在の建築基準法では、6階以上のビルでは地上につながる階段を2つ以上設置する事が義務付けられていますが、事件があったビルは1970年に建築されたため対象外となっており、スプリンクラーの設置義務も対象外でした。

全国には今回のビルのように、建築時には基準を満たしていたものの、法改正により不可抗力で法律の規定から外れてしまった「既存不適格」とよばれる建築物は多数存在し、問題視されています。 

ほかには、防火上の問題だけではなく、1981年5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物などは、阪神・淡路大震災の際に被害が集中したと言われています。

オーナーも入居希望者も知っておきたいこと

お話ししてきた通り、賃貸物件で家賃が安すぎる場合は「法律の基準を満たしていない」「実は存在しないおとり物件」などの可能性があります。 

しかし、おとり物件や事故物件、違法貸しルーム、既存不適格建築物などについて知ることで、「こんなはずでは」「だまされた」という事態に陥る可能性は低くなります。賃貸物件を借りる場合、家賃が安すぎる物件の内情や問題点を確認することも重要なのではないでしょうか。

【この著者の他の記事】
都内の単身物件の需要が低迷 2021年コロナ禍の賃貸事情とは
北海道の住宅事情とは――道民ライターが物件の特徴6つを解説

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

2級FP技能士・ライター

北海道在住。大学在学中に2級FP技能士を取得。 会社員を経てFP資格を活かし、ライターとして不動産・金融・相続・法律分野の記事を多数執筆する。「難しいことを分かりやすく」をモットーにライターとして活動中。

ページのトップへ

ウチコミ!