都内の単身物件の需要が低迷 2021年コロナ禍の賃貸事情とは(2/2ページ)
田中 あさみ
2021/11/29
コロナ禍でも賃貸需要を高めるための空室対策とは
上記のような、家賃10万円以上の単身向け賃貸物件を運営しているオーナーは多いのではないでしょうか。コロナ禍をきっかけに人気の出た設備の導入や、部屋を広く見せるプチリフォームなどで需要を高めていくことが必要かもしれません。
1.人気設備を設置する
人気設備を導入することで、物件の賃貸需要や家賃が上がるケースがあります。全国賃貸住宅新聞が21年10月に発表した「新型コロナウイルスの影響でニーズが増えた設備」は以下の通りとなっています。
1位 インターネット無料
2位 高速インターネット
3位 宅配ボックス
4位 テレビモニター付きインターホン
5位 遮音性の高い窓
6位 BS・CSアンテナ
7位 浴室換気乾燥機
8位 エントランスのオートロック
9位 防犯カメラ
9位 24時間利用可能ごみ置き場
インターネット無料は新型コロナ感染拡大前から6年連続で1位を獲得しているうえに、オーナー側にとっては一度導入することで、手間がかからない設備となっていますので積極的な検討をおすすめします。
「高速インターネット」や「遮音性の高い窓」は、新型コロナの影響で家にいる時間が増え、住環境の快適さを求める人が増えた結果となっています。
また宅配サービスを利用する人が増えたことから「宅配ボックス」「テレビモニター付きインターホン」の需要も高まっています。
2.部屋を広く見せるプチリフォーム
上記のように「部屋の快適さ」を求める人が増え、戸建てなど広めの住宅の人気が高まっています。
単身向けの1Kや20㎡程度の部屋でも、ちょっとした工夫で部屋を広く見せることが可能です。
賃貸物件の壁紙は白が多いですが、白は膨張色のため部屋が広く見えます。壁紙が黄ばんでいる、壁紙が白色ではない部屋は、クロスや壁紙を張替え広く見せるような工夫を行ってみてはいかがでしょうか。
また、コストが数十万円かかりますが、窓の拡張工事を行うことで、部屋が明るく広く見えるという効果も期待できます。
「広告費に費用をかけるより物件の価値を高めたい」「長期的にニーズを上げたい」というオーナーは、人気設備の設置やプチリフォームを検討してみましょう。
都内の賃貸需要は長期的にみると高い
テレワークの普及により、都内からの人口転出が続いていると言われていますが、21年4月には、就職・入学などの影響で東京都の転入者数は転出者数を2348人上回る結果となりました。
また、東京都政策企画局が発表した全国と東京の人口推計は以下の通りになっています。
出典/東京都政策企画局東京都「『東京と地方が共に栄える、真の地方創生』の実現を目指して~東京都総合戦略~」(2015 年)
全国的に人口減少が続くなか、東京都は25年にピークを迎える予定で、その後はなだらかに減少する予測です。
都内の単身向け賃貸物件の需要は一時的に落ち込んでいますが、単身世帯は増加中で、企業の本社や学校が東京に集中していることから人口増加が見込まれ「長期的に見ると需要は高い」と言われています。
これらのことから都内に賃貸物件を所有するオーナーは、できる範囲の空室対策を行い、コロナ禍に負けない賃貸経営を続けていくことが必要なのではないのでしょうか。
この記事を書いた人
2級FP技能士・ライター
北海道在住。大学在学中に2級FP技能士を取得。 会社員を経てFP資格を活かし、ライターとして不動産・金融・相続・法律分野の記事を多数執筆する。「難しいことを分かりやすく」をモットーにライターとして活動中。