サブスク、リースは得か、損か?――賃貸住宅業界で広がる活用法(3/4ページ)
小川 純
2021/10/09
節税効果があるというけれど
法人の場合、サブスク、リースは、節税効果が高いといわれる。
「サブスク、リースでも期間が1年以下、リース総額300万円以下のものは、会計処理の際、減価償却する必要がなく、そのまま経費計上できるので、会計処理に手間がかからないという点があります。逆に、リース期間が1年以上、リース総額300万円以上のリースでは「リース期間定額法」という方法で償却期間が決められ、毎年の償却額が一定になるという点で分かりやすいということもあります。さらに償却期間を耐用年数の70%まで短縮できるため、節税効果が高いといことから節税を考えてリースにする人もいますが、損か得、つまりトータルでどっちが高いか安いかで考えるのなら、サブスクやリースよりも、買ったほうが手数料や金利がないのですからお得になります。さらにサブスクでは所有権の移転はないので、そういう面でも損得で考えればと得とはいえないでしょう」(前出・税理士)
ただ、クルマのサブスク、リースでは保険、税金、車検費用まですべてカバーするものがあるように、こうした日常のメンテナンスなどがどこまでカバーされるかということも含め、契約内容をしっかりと確認することが極めて重要になる。
賃貸住宅でのサブスク、リースの活用法
しかし、賃貸業においてはサブスク、リースのほうが単に損か得か、あるいは節税になるかという点だけではなく、物件の魅力を高めるという点から考えると活用方法が変わってくる。
入居者が部屋探しをする際、エリア、立地、築年数、広さ、設備、管理状態など、さまざまな条件を比較検討する。
賃貸住宅オーナーにとってエリア、立地、築年数はどうにもならない。しかし、設備や管理状態は変えられる。かといって、常に新しい設備を整えるにはお金がかかる。そこでここまで見てきたようなサブスクやリースを活用すれば、トータル的な出費は増えるが、初期の大きな支出、メンテナンスの出費を抑えながら、新しい設備を整えたニーズの高い設備をそろえることは可能だ。
具体的には、共有設備の防犯カメラ、宅配ボックス、テレビモニター付きインターホンなどはリースでカバーすることができる。また各戸の設備として、浴室乾燥機、洗濯機、冷蔵庫、食器洗浄機、コンロ、温水洗浄便座、エアコンもリースがあるし、家具や家電はサブスクでそろえられる。ホームステージングにも活用できるだろう。
■主な家具・家電のサブスクリプションサービス
airRoom
出典/airRoom HP
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この記事を書いた人
編集者・ライター
週刊、月刊誌の編集記者、出版社勤務を経てフリーランスに。経済・事件・ビジネス、またファイナンシャルプランナーの知識を生かし、年金や保険など幅広いジャンルで編集ライターとして雑誌などでの執筆活動、出版プロデュースなどを行っている。