ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

賃貸経営・不動産投資、困ったときのフクマルさん ♯4 〜今年も災害被害が多数 修繕対応はどうしていますか?〜(4/4ページ)

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

予測されるトラブル

また、入居者に故意がない場合はオーナーに修繕義務があるために、入居者の判断で修繕を行ってよい、という項目が民法に加わったことで、予測されるのはその修繕費用に関するトラブルなのです。

①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当期間内に必要な修繕をしないとき

②急迫の事情があるとき該当する場合は、賃借人に修繕権限が認められる。

ですが、賃借人による修繕を避けたい場合には、修繕の範囲・方法等に関する条項を特約に定めておくことが望ましいです。ただし、賃借人が消費者の場合、権限を制限する条項が消費者契約法により無効とされないよう注意が必要となります。

それは、休日や夜間に発生した故障は、急を要するからといって入居者がすぐ業者を手配してしまうと割増料金などが加算されて、通常よりも高額な修繕費用が発生します。また、修繕に要する時間よりも交換の方が短時間できるからと、入居者の判断で勝手に新品交換などを行った場合も、修繕よりも高額な費用が発生する可能性があります。

このようなトラブルを未然に防ぐために必要になるのは、こちらも契約書による明文化が必要です。

特約条項の一例として、以下のような内容を記載しました。

・設備に異常が発生した場合は速やかに管理業者に連絡する義務があること
・オーナーや管理会社の対応ができない時間帯であれば指定業者に連絡すること
・修繕工事は平日に実施すること
・規定の箇所や金額の条件を満たす内容の修繕ならば後日の請求に応じること

今回の修繕義務に関することも改正民法には明確な基準がなく、責任や権限の所在を明らかにした程度のために、設備や建物の修繕について詳細な条件を契約書内で取り決めておくことで、修繕の期間に費用に関する「常識的な範囲」があれば円滑に修繕を行え、大きなトラブルにはならないようにしておくことも重要です。また、入居者としても、修繕が必要になった際の対処が明確になっている方が、勝手な判断でトラブルとなる心配が無くなります。

なかには責任回避をしたいために、【貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン】をそのまま添付している管理会社もあるようです。あくまでガイドラインですので、建物によっても異なります。管理会社、もしくはお付き合いしている不動産会社と十分に話し合って、契約書を明文化してください。

【関連記事】
〜増える高齢者と賃貸住宅〜
〜お金や地位、名誉は他人に奪われることもあるが、「学んだことは奪われない」〜
〜真実を知るためには、大家さん自身で学ぶことが必要〜

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

株式会社アトリエハウス 代表取締役・「白ゆり大家の会」主宰

保育士、製菓会社、建売会社のCADオペレーター・現場審査立会い業務を経て賃貸仲介会社へ転職。その後、地元老舗不動産会社から事業拡大のためヘッドハンティングされ、宅地開発、建売事業を行いながら賃貸管理会社・建設会社を設立。全営業責任者となり、建築営業において全国NO.1の営業表彰を受ける。2014年、アトリエハウスを設立し独立。不動産コンサルタント・講師業として活躍。不動産会社、建築会社や賃貸住宅オーナー向けに講習会も行う不動産のエキスパート。 資格:ファイナンシャル・プラニング技能士2級、宅地建物取引士、2級建築施工管理技士、賃貸不動産管理士、住宅ローンアドバイザー、不動産キャリアパーソン、損害保険代理店資格、占術鑑定士(四柱推命・気学<九星・方位・家相学>)、保育士・幼稚園2級教諭。

ページのトップへ

ウチコミ!