ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

マンション投資で考える―― 個人か法人、どちらが正解?(2/2ページ)

斎藤 岳志斎藤 岳志

2021/05/08

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

1)「節税の観点から法人のほうが個人よりも経費にできる対象が増える」

この経費で一番大きなものは「給与」です。これは本人だけでなく、家族に対しても給与を支払うこともできるので、収入の分散化が可能になります。また、自宅が賃貸であれば賃借人を法人にすれば法人の社宅にできるので、家賃の一部を経費にすることも可能です。このように個人ではなかなかしにくいものも経費として計上することが可能になります。

2)「金融面の観点から、実績が認められやすい」

融資を受けて物件を購入する際、個人でアパートローンを活用しようとすると、「収入の10倍まで」というような融資枠の目安があります。しかし、法人ではプロパーローンがメーンになるため個人よりも実績が重視され、融資を受けられる金額も大きくなります。結果としてより多くの物件を所有しやすくなります。

3)「相続時の手間がかからない」

一言でいってしまえば、複数の物件を所有する人が亡くなり相続が発生した際、それぞれの物件を相続人の名義で登記をしなくてはなりません。しかし、法人であれば法人の代表者を変更するだけで済みます。

また、相続人が複数いる場合、個人であればだれがその物件を相続するかで、いわゆる“争族”になる可能性もありますが、法人であれば、そうした問題は生じにくくなります。揉めるようであれば、物件を売却して現金化すればよいだけです。あるいは法人そのものを売却することも可能です。

メリットが多いように見える法人化ですが、デメリットもあります。

もっとも大きなものは、決算と税務処理の煩雑さでしょう。そのため多くの場合は税理士に依頼することになり、その費用がかかります。その金額はピンキリですが、最低でも年間20万円ほどは見積もっておく必要があります。

また、先にもお伝えしましたが、法人住民税の均等割額(7万円)は、必ず支払わなくてはなりません。

このように法人化はデメリットもあるので、「3~5部屋ぐらいの所有で十分」という方であれば法人にするほうが負担になりかねません。

とはいえ、マンション投資をはじめるにあたっては、どちらにするか将来を考えておくことも必要でしょう。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

FPオフィス ケセラセラ横浜代表 百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。 マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。現在は、自らの資産運用はほとんど中古マンション投資に絞って取り組んでいる。

ページのトップへ

ウチコミ!