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賃貸経営の新しい選択肢 第2回/管理方法は? 補助金制度は? 課題も多いサ高住の最新事情

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取材・文/財部 寛子

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2012年に1棟目のサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)をオープンした太陽ハウスは、現在、19棟のサ高住を手掛けている。比較的入居も安定し、大きなトラブルもないという。また、国もサ高住の供給増をめざして、補助金制度などを整えてきた。賃貸住宅オーナーは、サ高住事業への取り組みを積極的に進めていくべきなのだろうか。今回は、サ高住の現状や課題点などを聞いた。

2011年にスタートした国による補助金制度

「高齢者の居住の安定確保に関する法律」、通称「高齢者住まい法」は、2001年に施行され、目的を次のように記している。

「高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスの提供を受けることができる良好な居住環境を備えた高齢者向けの賃貸住宅等の登録制度を設けるとともに、良好な居住環境を備えた高齢者向けの賃貸住宅の供給を促進するための措置を講じ、併せて高齢者に適した良好な居住環境が確保され高齢者が安定的に居住することができる賃貸住宅について終身建物賃貸借制度を設ける等の措置を講ずることにより、高齢者の居住の安定の確保を図り、もってその福祉の増進に寄与することを目的としています」

つまり、高齢者が生涯にわたって安心した暮らしができるよう、住居の確保を推進する法律というわけだ。

さらに、11年には改正が行われ、サ高住の登録制度や補助金制度が設けられた。太陽ハウスも、この補助金制度を利用して、サ高住の事業をスタートしている。

「サ高住を建築する際、建築費の最大10%を国が補助してくれるという制度です。さらに千葉県内・東京都内では国の補助金に5%、10%を自治体から上乗せで補助金を受けられる(一部の地域を除く)ので、取り組みやすかったといえます」(太陽ハウス 取締役 岩橋保宗さん)


太陽ハウス 取締役の岩橋保宗さん

国の目標はサ高住60万戸、現状は25万戸 その理由は?

国はこういった制度を設けることで、11年から10年の間にサ高住を60万戸供給するという目標も設定していた。ところが、10年目の節目となる20年8月末現在、サ高住は約25万戸。目標の半分にも達していないのが現状だ。

「供給が進んでいない理由として、たとえば『高齢化が進んでいるから』『補助金を受けられるから』『利回りがいいから』といった理由だけでサ高住の建築に飛びついてしまうと、その後の運営が厳しくなるケースもあるからだと考えられます。サ高住は一般の賃貸住宅と同じ賃貸借契約とはいえ、介護事業者との提携も必要になります。その点がネックになる可能性があります」(太陽ハウス 住宅開発部 課長 福永俊介さん)


太陽ハウス 住宅開発部課長の福永俊介さん

サ高住には介護事業所が併設される。国内には介護事業者が数多くあるが、それぞれの事業内容には違いがある。介護度が高い高齢者の介護を引き受けていたり、デイサービスを主としていたりといった具合だ。

「そのため、サ高住で提携する介護事業者がデイサービスを主としていれば、そこでは介護度の低い入居者が集まりやすくなります。また、サ高住では24時間体制のサービスを提供するため、この体制に対応できる規模の介護事業者でなければなりません。さらに、現在の日本では、たくさんの介護事業者が設立される一方で、撤退を余儀なくされる事業者も多いのが現状です。サ高住では安定した経営・事業を持続できる事業者を見つける必要があります。この点がサ高住を運営する際の難しい点といえます」(岩橋さん)

ちなみに補助金制度は、スタートから10年が経過する今年度が一区切りとなる。来年度以降も補助金制度が継続されるのか、打ち切られるのか、まだ発表はされていない。サ高住の建築を検討しているオーナーはこの点についても注視しておく必要があるだろう。

サブリース契約のサ高住は、管理方法にトラブルも

また、現状のサ高住は、管理の方法にも課題が残っているようだ。

一般の賃貸借契約の場合、管理会社が物件の管理を担っているケースが多い。入居・退去時、部屋に不具合が生じたとき、入居者同士のトラブルがあったときなど、管理会社が入居者とオーナーとの間に立って対応をする。

「しかし、サ高住の多くはサブリース契約になっており、介護事業者がオーナーから物件を借り上げて運営しています。そのため、不動産の知識があまりなく、賃貸借契約が曖昧になっているケースもあるようです」(岩橋さん)

このように不動産知識がないままでサブリース契約をしていると、家賃保証会社に加入していない場合もあるだろう。高齢の入居者が家賃を滞納しても、退去を強制するわけにもいかず、泣き寝入りしている事業者もあるという。


サブリース契約での運営スタイル

また、老人ホームの場合、利用者の介護度が高くなって別の施設や病院に移動すれば、利用者が使っていた部屋やベッドをすぐに片付けることができる。
しかし、サ高住の場合は賃貸借契約のため、入居者が長期に入院したり、亡くなったりしたとしても、介護事業者やオーナーが勝手に片付けるわけにはいかない。そのため、家族の連絡先をきちんと把握しておくことが重要になる。

こういった問題を回避するためにも、太陽ハウスでは独自のテナント方式を採用している。

「弊社では、弊社がオーナー様と管理委託契約を結び、介護事業者の運営をサポートしたり、入居支援を行ったりします。いわゆる管理会社としての役割です。弊社は賃貸物件の管理のノウハウも持つ不動産会社ですので、入居者や介護事業者には重要事項説明書を読み、火災保険や家賃保証会社にも加入していただき、きちんとした契約を行っています。現状、このような方式で運営しているサ高住はほかにないと思います」(岩橋さん)


太陽ハウスの「テナント方式」運営スタイル

今後も高齢者向けの住宅の供給を増やしていく必要があることは間違いないだろう。賃貸経営のオーナーも、サ高住の運営を視野に入れておくことは悪くない。しかし、不動産と介護、両方の知識を備えてから事業をスタートすることが重要のようだ。

次回は、サ高住経営のメリットを紹介する。

賃貸経営の新しい選択肢 第1回/「サービス付き高齢者向け住宅」とは?
賃貸経営の新しい選択肢 第3回/空室や事故物件のリスクも低い ! ? サ高住経営のメリット
賃貸経営の新しい選択肢 第4回/一般賃貸との比較 サ高住のメリット
賃貸経営の新しい選択肢 第5回/安定を見込めるサ高住の経営シミュレーション

会社プロフィール
太陽ハウス株式会社 代表取締役 岩橋淑行
1980年2月に設立。建築不動産業を通じて、地域社会の発展に貢献し、より良い住環境を創造し、お客様の満足・幸福と、社員の幸福、会社の発展を等しく実現します。地域経済に浸透し、地域の人々に信頼され、地域社会に必要とされる会社の実現に向って、誰からでも愛される太陽ハウスをみんなで目指します。
住所:千葉県松戸市新松戸1丁目204番地
Tel:047-343-1111(代表)
https://www.taiyo-house.co.jp/

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この記事を書いた人

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