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「賃貸管理業務適正化法」成立、サブリース契約は安心か?(4/4ページ)

小川 純小川 純

2020/06/15

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法律化された背景とこれから

実際、この法律が作られた背景について、国交省は、賃貸住宅志向の高まりや単身世帯、外国人居住者の増加などを背景にした生活の基盤と強化。その一方で、賃貸住宅の管理は高齢化や相続などに伴い賃貸を専業とした人が少なくなるとともに、管理そのものが高度化してきたことから管理業者に管理の委託を行うオーナーが増えている。

さらにサブリースが増加傾向にある中で、オーナーとサブリース業者とのトラブルも絶えることはない。特にそのトラブルの原因が家賃保証などの契約内容によるところが多く、これが社会問題化してきたことに対応しようとしている。

サブリースへの対応については、遅きに失した感は否めないが、きちんと法制化されたことは評価できるだろう。

というのも、賃貸住宅におけるサブリースが広まったのは1991年の改正生産緑地法によってだった。それから30年が経ち、広まったサブリースによるアパートやマンションの耐用年数を迎え、サブリース業者の建て替え営業が活発化されてきている。加えて、「2022年問題」といわれる改正生産緑地の指定解除を控え、新たなサブリースによる賃貸住宅の建設が増えることも予想される。

18年10月には国交省、金融庁、消費者庁が連携して「サブリース契約に関するトラブルにご注意ください」と題する文書を発表。地主や不動産オーナーに対して注意を喚起してきたが、改めて業者側に対する法律を作り、こうしたトラブルを未然に防ごうと動き出したわけだ。

とはいえ、法律ができたから安心というわけではない。

「これはあくまでサブリース契約を行うときの枠組みを作っただけです。サブリース業者や斡旋業者の中には悪質な業者もいるでしょうから、それに対して注意をしていこうというものです。この法律によって、サブリースについては、これまでのマイナス部分を埋めただけで、プラスマイナスゼロになった状態です。また、サブリース契約は複雑なところもあって、契約内容は個別に違いがあります。ですから、今回の法律ができたからといってすべてがカバーされたというわけではありません。サブリース契約をする場合はオーナー自身が勉強することが必要ですし、弁護士など専門家に相談することも必要でしょう。しかも、金融機関からの融資を受けるとなれば、数千万円から数億円単位になることもあるわけで、そうした契約をされるのであれば慎重に行うべきです」(吉田弁護士)

法律ができたとはいえ、それで安心とはいかない。賃貸住宅の経営者としての自覚が必要だ。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

週刊、月刊誌の編集記者、出版社勤務を経てフリーランスに。経済・事件・ビジネス、またファイナンシャルプランナーの知識を生かし、年金や保険など幅広いジャンルで編集ライターとして雑誌などでの執筆活動、出版プロデュースなどを行っている。

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