ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

空き家処分は不動産会社だけでなく、広がるネット活用と流通について(2/3ページ)

大谷 昭二大谷 昭二

2020/04/11

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

相続、生前贈与された空き家の処分方法

(1)親の判断能力に問題がない場合
この場合も、親から直接空き家の処分を依頼される場合と、子に譲渡して処分を子に任せる方法が考えられます。

■親から直接空き家の処分を依頼された場合
この場合は、不動産売却の代理権を得る必要があります。代理権を得た場合、契約は代理人である子が締結するが、契約の効果は代理権を与えた本人、すなわち親に生じます。

■親から購入、または生前贈与を受ける場合
この場合は、子が一旦不動産の所有権を取得し、自分の所有物として不動産を処分することになります。

(2)親の判断能力が著しく低下している場合(制限行為能力者)
■成年後見制度
現代社会において、意思能力の喪失や低下で問題となるのが認知症です。認知症は法律上の言葉ではありませんが、事理を認識する力や記憶力、判断する力に障害が起きている状態を示す総称として用いられています。

親が強度の認知症により事理弁識能力を欠く状況にある場合に財産を処分するためには、成年後見人制度を利用することになります。財産管理能力がないのであれば、早めに家庭裁判所に成年後見の申立てを行い、成年後見人による財産管理することが望ましい方法です。親族が後見人になることもありますが、親族間に対立があれば第三者的立場の弁護士等が後見人に選任されることが多くなります。

■家族信託制度
認知症に備える事前の対策方法として「家族信託」があります。家族信託は、財産を管理する方法の一つで、自分の資産の管理や処分を家族に任せることをいいます。

資産を家族に預ける立場の「委託者」、財産を預かって管理・運用・処分する権利を持つ「受託者」、そしてその財産から利益を受ける「受益者」で構成されており、受託者は委託者の信託目的に従って受益者のために財産を管理し運用することになります。後見制度は、認知症などで判断能力が低下した人を法律的に支援するための制度であるのに対して、家族信託は、認知症になる前の財産管理制度として最近注目されています。

■任意後見制度
任意後見制度は、将来自分の判断能力が不十分な状況になった際に援助してくれる人を前もって指定して、援助してもらう内容も具体的に決めておく制度です。

この制度は、あらかじめ後見人になってくれる人と契約を結んでおく必要があります。その際、契約書は公正証書にしておかなければなりません。そして、本人の判断能力が不十分になった時は、契約をした人(=任意後見人)が、本人を援助することになります。なお、この契約は家庭裁判所に申立があって任意後見監督人が選任された時から効力を生じます。

次ページ ▶︎ | 売れない不動産を売るプラットフォーム「家フリマ」とは?

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

タグから記事を探す

ページのトップへ

ウチコミ!