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誰も住まなくなる「実家」を賃貸したい そのとき迫る課題・悩み・判断・注意点(2/2ページ)

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3.実家を貸したい人が最も悩む「リフォーム」の程度

長年親や家族が暮らしてきた実家の建物であれば、あちこち相応にくたびれているはずだ。肉親同士であれば気にならない汚れやキズも、赤の他人が見れば不潔感さえ感じるなど、大いにマイナスとなる。そこで、実家を貸したい多くの人が「リフォームをどこまですべきか」「どこまでお金をかけるべきか」に悩むこととなるわけだ。

だがこの判断、なかなか難しい。もちろんピカピカにフルリフォームすれば建物は賃貸物件として魅力を増すが、そのためのコストを回収するのが容易ではなくなる。一方、手をかけなければ、コストはかからないが物件の商品力はその分下がることになる。立地の良さなど、他のアドバンテージを睨みながらの難度の高い判断が要求される場面となる。

そのため、リフォームも絡めたうえで実家を貸すには…

「家賃はどのくらいを望むのか、望めそうなのか」
「どのくらいの期間、賃貸物件として運用することになるのか」
「他の出費はどれくらい予想されるのか」

等、諸条件を盛り込みつつ、賃貸経営の将来を綿密にシミュレーションすることが肝要となる。なおかつ、そこには現地の賃貸マーケットの状況がつよく影響してくる。それをよく知る不動産のプロに相談しながらでなければ、素人ではなかなか結論を導くのは難しい。

4.大事な付け加え——親の「判断能力」をしっかりと考慮に

以上、簡単そうにイメージする人も多い、「誰も住まなくなる実家を貸す」について、基本的な心構えを述べてきた。そのうえで、プロがこの話をする際、決まって付け加えるもうひとつの大事なことがある。 

それは、親の判断能力だ。なぜなら、今回この記事で説明してきたようなケースでは、家の貸主はまだ存命中の親となることが多いからだ。

ところが、その親御さんが認知症をわずらうなど、判断能力を失うと、あらゆる契約行為ができなくなる。入居者との建物賃貸借契約はもとより、管理会社や設備会社、リフォーム会社への業務の発注等々、あらゆる契約だ。

つまり、「親が高齢となり、実家に住めなくなった。施設へ入る」といった状態にある場合、家族にとっては、残される家をどうするかとともに、実はこちらも重要課題となる。家族信託などの対策が当然視野に入ってくることになるが、そのこともぜひ忘れないようにしてほしい。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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