古民家の再生は地域活性化の起爆剤に(2/2ページ)
川久保文佳
2020/02/23
古民家を新たな経済活動の拠点に
家がなくなると人が減り、地域の活気がなくなってしまう、それとは逆に、空き家・古民家再生によって、地域に人が集い、暮らしが生まれ、街には交流が生まれる。「家」が果たす役割は雨風をしのぐばかりではなく、家が地域に存在し、活用されることで、家が集まり街を形成し、人が住むことで経済活動が生まれているようです。
基調講演の中から、観光庁の観光産業課の多田課長からは、観光庁宿泊事業の新施策として、イベントでの宿泊の活用方法が紹介されました。
将来、ここ50年ほどで人口減少とともに65歳の割合が約38%となり、生産人口が7700万人から約4500万人を切っていく予測で、今後の経済への影響も大きくなっていくとのこと。そうしたなかで観光交流人口の増大の経済効果についても触れ、国際観光市場は伸びてきているそうで、特にアジア・太平洋地域は世界の中で最も伸び率が高いようです。
インバウンド観光における経済効果については、観光交流人口の増大の経済効果として、定住人口1人あたり、年間消費額が127万円とすると、旅行者消費に換算すると外国人の旅行者8人分になるそうです。国内旅行者(宿泊)であれば、23人分、国内旅行者(日帰り)であれば、73人分にあたるほど、外国人旅行者がもたらす経済効果は高いようです。
外国人旅行者の推移も2019年には3188万人、7年で3.6倍になったようです。訪日外国人の消費額については、2019年には4兆8113億円に上っています。
また、空き家の宿泊事業への転用の可能性も視野に入れて、今後のオリンピックなどのイベントでの宿泊の活用の可能性について指摘されました。
しかし、古民家や空き家などを改装、活用するには資金と労力が必要となります。ここでは、必要な資金を意義のあるところへ活用していく「REVIC」という取り組みが拠点をつなげて地域経済を活性化してきている事例があります。
文化財の古民家を整備し、街全体をホテルに見立てて滞在環境を整備する千葉県香取市の取り組みや、地域と地域金融機関が観光名所である建物を観光周遊拠点として再整備して、官民公金の一体で計画策定と実行をする長野県山ノ内町(志賀高原)なども紹介されました。
様々な古民家や空き家の再生が行われる中で、地域を活性化する取り組みを地域の金融機関と協同して行われているなど、多くの事例が上がってきています。REVICの目的は、「地域経済の活性化や中小企業等の事業再生が持続的に行われるようにしていくこと」となっています。
この取り組みによって、成長支援として活性化ファンドが組成し、運営されています。
この記事を書いた人
一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事
一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事 北海道函館市生まれ。現在の札幌国際大学 卒業後、リクルート住宅情報事業部にてライターを務めた後、IT企業を経て不動産関連事業へ転身。その一方で、化粧品とサプリメントのコンサルティングや専門家としてのアドバイザー務める。海外派遣先では、フィリピン・タイ・カンボジア・マレーシアなどで日本への輸出入をテーマにセミナーを行うなどマルチに活動している。