オーナーと入居者は、共に幸せを創り出せるパートナー(3/3ページ)
ウチコミ!タイムズ編集部
2019/08/29
しかしながら、それでもやはり多くの人が、
「可能ならば持ち家がほしい」
「賃貸暮らしはいつまでも続けるものではない」
と、考えるのはなぜなのでしょうか?
大きな理由が2つあります。
ひとつは老後不安です。多くの人が、年をとれば賃貸住宅は借りづらくなると思っています。この不安に関しては、実態以上に深刻に語られているきらいがありますが、たしかにウソであるともいえません。
さらには、住宅の質です。
残念ながら、日本の賃貸住宅には、住宅として低質なものが多く、このことがかなりの負圧となって賃貸住宅から持ち家へと人々を吸い上げています。
では、そんな状況を少しでも改善し、入居者、オーナー両方がWin Winのバリューを掴むにはどうしたらよいのでしょうか。
単純な答えですが、その本命といえるのは政策です。
賃貸住宅に高齢者が安心して暮らすことができ、オーナーも同時に安心できる環境をととのえるには、政策的補助がどうしても必要となってきます。
また、賃貸住宅の高品質化は、オーナーのかかえる投資リスクを一方的に重くします。これは、生産量の拡大が不可能な賃貸住宅という業態(その建物に存在する部屋数以上には稼げない)にあっては、取り去ることのできない足かせです。
いずれにしても、オーナーという個人の負担のみに頼っていては前に進まない福祉政策的側面が、この両方にはあるのです。
そうした意味で、日頃対立関係ばかりが語られがちなオーナーと入居者は、実はこの面では一致した政策要求者の立場にいます。
たとえば、広範囲な公的サポートの実施によって賃貸住宅の高断熱化が進めば、オーナー、入居者は、ともに等しくその恩恵を被れます。
「原状回復してくれ。いや、納得できない!」
「礼金?更新料?ガメツイぞ!」
そんなぶつかり合いとは別の、一段上のステージで両者が手を取り合い、共に前進すれば、この国にもうひとつ幸せな環境が生まれるのかもしれない…
そのことに、我々はそろそろ気づいていいのかもしれません。
(文/朝倉継道 参照元/リニュアル仲介株式会社)
この記事を書いた人
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