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迫る改正民法の施行

賃貸住宅の「原状回復」について、誤解はありませんか?(3/4ページ)

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ただし、どんな特約でも盛り込んでおけば必ず有効になるというものでもありません。さきほども触れたとおり、入居者が一方的に不利な内容になっている場合は、争えば、消費者契約法による判断によって無効とされる可能性が高くなります。また状況によっては、民法の主旨に沿っていないという直接の理由をもとに、特約の有効性が否定されるケースもありうるでしょう。


そこで指針となるのが国交省のガイドラインです。クリーニング特約を成立させるための3つの要件が示されています。改正民法の運用場面においても、これに倣った判断がされると思っていてほぼ間違いないでしょう。


以下、その要件です。


(賃借人に特別の負担を課す特約の要件)


1.特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること

2.賃借人が、特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること

3.賃借人が、特約による義務負担の意思表示をしていること


このうち1については、「暴利的でない」と見られるための基準が気になるところですね。金額としては「賃料1ヶ月分までが目安だろう」という意見もあります。また、実際のクリーニング特約では、賃料の半分程度を設定するケースがよく見られます。さらには、負担の対象となる範囲にも注意が必要です。アレの修繕も、コレの取り替えもと、範囲が広すぎるとそれは暴利とみなされやすいでしょう。

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