利用者は20代、30代 カーシェアで賃貸住宅にプラスaの魅力(3/3ページ)
小川 純
2020/08/01
導入の必要条件と契約までの手続き
では、実際にカーシェアを設置するための条件、手続きに必要なこととは何か。
「条件というとその場所でカーシェアリングをやって、事業収支が合うか合わないかが第一の条件になります」と田端さん。
そのうえで実際には 個別ケースで異なるという。
「カーシェアは会員サービスなので、周辺にどのくらい会員がいるかというところをベースに社内でシミュレーションを行います」(田端さん)
とはいえ、周辺に会員がいないからNGになるというわけではない。田端さんがこう話す。
「周辺に会員がいなくても、それは当社のカーシェアがないから、会員がいないというようなこともあります。そうなればそこは新規開拓として考えることもあります」
また、地方などでマイカーが多いような地域では採算が合わないということから見送られる場合もあるが、これも一概にはいえない。
「たとえば、地方であっても駅から近い物件であれば、電車に乗って車を借りに来られる方もいます。当社は47都道府県でサービスを展開しているので、会員であれば全国どこのス テーションの車でも使うことができるので、駅の近くであれば出張や旅行の 需要も考えられます。また、マイカーの多い地域であっても、最近ではセカンドカーとしてカーシェアを利用する方も増えています」(田端さん)
さらに会員が少なくても、その地域にヘビーユーザーがいれば、採算はとれるという。一方、カーシェア設置にあたってはスペース的なものや、安全面での一応の規定はある。
「車両を置くスペースのサイズとしては、幅が2500mm、縦が5000mmという、一般的な駐車場のサイズ、設置道路については建築基準法で定められた、幅員は4m以上が基準になります。ただ、これも推奨サイズなので、最終的には現地調査をしてからの判断になります。また、安全面が重視されますので、駐車スペースに問題がなくても、その後ろや近くに電気設備や給排水設備などのライフラインにかかわるものがある場合などは、お断りすることがあります」(田端さん)
基本的な契約期間は原則1年で、毎年更新。解約については契約の段階で予告期間を取り決め、事前予告することで、契約期間中であっても双方ともにいつでも解約ができる。
とはいえ、現状では解約は少ないという。また、タイムズ側からの解約も「『それまであったのになくなった』と会員にご不便をかけたくない」ということから、これまではほとんどないという。気になるオーナー側の費用負担は、一切かからない。
「当社としてはあくまで車両スペースをお借りして、そこでカーシェアというサービスを運営するという形になるので、車両スペースの賃貸借契約を締結させていただくだけです。駐車スペースのペイントや、パイロンなど備品も当方の負担です」(田端さん)
要はタイムズ側と月極駐車場契約をしているようなもの。そのためカーシェアの売上分配はない。
「ご相談、現地調査から最終的なご契約までは2週間ほどなので、とにかくお問い合わせいただければと思います」(田端さん)
他の賃貸住宅との差別化、空室対策として有効かもしれない。
この記事を書いた人
編集者・ライター
週刊、月刊誌の編集記者、出版社勤務を経てフリーランスに。経済・事件・ビジネス、またファイナンシャルプランナーの知識を生かし、年金や保険など幅広いジャンルで編集ライターとして雑誌などでの執筆活動、出版プロデュースなどを行っている。