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物件購入の決め手に「重要事項調査報告書」――そこから何を読み取り判断すべきか(2/2ページ)

斎藤 岳志斎藤 岳志

2020/09/14

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「長期修繕計画」のある物件とない物件

そして、もう1つ確認しておきたいのが、「長期修繕計画」です。

修繕履歴は過去の記録ですが、長期修繕計画はこれから、つまり未来のメンテナンス計画です。ただ、長期修繕計画についてはこれを作成しているマンションと、作成していないマンションがあります。

もちろん、これがあるマンションのほうがオーナーたちのメンテナンスに対する意識が高く、管理会社の対応もよいわけで、作成されているマンションにほうがよいマンションということができるでしょう。

とはいえ、これはあくまでも計画なのでこのように進むかは限りません。しかし、どのような見積もりがされているかを知ることができれば、そこから次の大規模修繕工事の内容に見合っただけの修繕積立金が貯まっていくかがわかります。

つまり、現状の修繕積立金で足りるかどうかの見極めができるわけです。言い換えれば、それはどこかで修繕積立金の値上げがある、あるいは大規模修繕工事の際に追加の負担が求められる可能性があるということになります。

こうしたことを考慮したうえで、総合的にその物件の善し悪しを判断してください。

しっかりとした管理会社が入っているマンションは長期的に安定した家賃をもたらしてくれます。オーナーにとって優れた管理会社は良きパートナーですが、そうでなない管理会社は金食い虫でしかありません。

マンション管理については今年の6月に成立した「改正マンション管理適正化法」によってマンションの管理計画を自治体などが「適切」と認定する制度の創設が盛り込まれ、新しい動きが出ています。また、マンション管理会社の業界団体であるマンション管理業協会では、重要事項調査報告書をもとにマンションの等級評価を行う準備も進んでいます。今後、ますますマンションの管理が重要になっていきます。

マンションの評価が変わる!? 管理状態を明確にする「等級評価」

マンション全体の過去、未来を予測するための手がかりが、この重要事項調査報告書なのです。

内容を見てわからないことがあれば、きちんと営業担当者や先方の管理会社に確認して理解し、納得したうえで次のステップに進んでください。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

FPオフィス ケセラセラ横浜代表 百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。 マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。現在は、自らの資産運用はほとんど中古マンション投資に絞って取り組んでいる。

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