2020年 重要キーワード “ハザードマップ” 注目は大規模盛土造成地が反映された「ハザードマップポータルサイト」(2/3ページ)
ウチコミ!タイムズ編集部
2020/08/08
なかなかのスグレもの「ハザードマップポータルサイト」
ところで、このハザードマップ、全国の自治体が個別に公表しているが、国交省では、これらをまとめた、「ハザードマップポータルサイト」を開設・運営している。
これがなかなかのスグレもので、内容も充実。主なコンテンツとしては、「更新情報」「重ねるハザードマップ」「わがまちハザードマップ」といった機能が備えられている。
まず一つ目の「更新情報」。着々と増加していく、全国の自治体がまとめた災害想定区域情報などが、ハザードマップポータルサイトに“実装”されるごとに、そのことが発表される。
たとえば、最近ニュースになったのが、7月15日付「大規模盛土造成地について、新たに207市町村のデータを追加した」との一報。これは、サイトの重要コンテンツである「重ねるハザードマップ」(内容は後述)に、国交省が3月30日に明らかにした5万1306 カ所の大規模盛土造成地のデータに新たな207市町村のデータを追加したもの。
なお、大規模盛土造成地の数字(5万1306カ所)が3月に明らかになった時点で、業界内ではかなりの話題となっていたが、この重ねるハザードマップにすべて反映され、ビジュアル化されたことが、ニュースとしてのインパクトをさらに増加させた。
スグレものの「重ねるハザードマップ」。災害種別の情報を重ねて確認することができる/画像「ハザードマップポータルサイト」HP
次に、その「重ねるハザードマップ」だ。これはハザードマップポータルサイトのメインコンテンツ&ツールである。
ハザードマップには、洪水ハザードマップや、土砂災害ハザードマップといったよく知られているもののほかにも、津波、火山など、さまざまな種類がある。また、土地がかかえるリスクや、リスクの可能性を示す資料は、ハザードマップだけにとどまらない。ほかにもさまざまなものが存在する。前述の大規模盛土造成地もそのひとつだ。
そこで、重ねるハザードマップでは、それらの情報を選択しながら、地図上で重ね合わせ、空から大地を見下ろしたようなかたちで、その土地がもつ大小の危険性や懸念をビジュアルで把握できる。
ちなみに、この重ねるハザードマップで、特に興味深いのが航空写真データだ。最近の写真だけでなく、1980年代や70年代、もっと古い時代の写真も「重ね合わせ」の材料にできる。「昔は田んぼだった」「川が流れていた」など、その土地の過去の姿は、将来のリスクに大きく影響することがあるので参考になるだろう。また、その事実を措いても、土地の変遷を空から眺めていくというのは面白い作業だ。一旦ハマるとやめられない。
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