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担保価値

お金を貸す側から見た不動産価格
「あの土地はいくらぐらいするのか」「あの建物をこのぐらいの値段で売りたい」と土地の値段や建物の価格が話題になることがありますが、不動産価格には買う側・売る側から見た価格の他にお金を貸す側から見た価格など、様々な顔があります。今回は「担保価値」についてご紹介します。
担保価値とは不動産を売却したときに得ることができる対価のこと。言い方を変えれば、「債権者が債務の担保として預かる物的担保の財産価値」のことです。つまり担保価値とはお金を貸す側から見た不動産価格とも言えるでしょう。
担保価値は評価額より低くなる
担保とは、俗に言う「借金のカタ(形)」として金融機関が設定するもの。大金を貸して万が一返済されなかったら金融機関は大損ですので、返済能力に対する不安を解消するために担保を設定するわけです。土地や建物などは担保の代表格と言えます。
担保価値は算式で表現すると次のようになります。

担保価値 = 不動産の評価額 × 担保掛目(かけめ)

担保を取っておけば、例えば投資家が経営難になってローンを返せなくなったとき、金融機関は担保を競売にかけて現金が回収できます。そして、確実な回収のためにはできるだけ正確に物件の価値を算出して融資枠を設定する必要があります。
とは言え、担保価値の算出法は金融機関ごとに異なりますし、物件の諸条件や立地によっても変わるので、一律には決められません。担保掛目は競売にかけられた時の価格を考慮して7~8割に設定されることが多いと言われていますが、この割合からして金融機関ごとに異なるわけです。
ただ、担保掛目の設定法からもわかるとおり、金融機関は不動産の評価額よりも低い見積りで物件の価値を捉えています。担保価値は不動産の時価に基づいて求められますが、時価は変動するもの。当然、担保価値も変動するわけで、価格が下がった時に備えるためには担保価値を抑える必要があるのです。
担保価値 = 融資可能額ではない
ただし、担保価値 = 融資可能額ではありません。戸建てでもアパート・マンションでも、月日が経てば劣化し、価値が下がります。その意味では、融資した時点での担保評価額は当てになりません。そのため融資可能額を考えるときは「物件」より「人物」の属性や事業計画などが重視されるのです。これらの諸条件が良ければ担保価値よりも好条件の融資を勝ち取ることができます。また、マンションは戸建てよりも評価が難しいと言われます。新築マンションであれば販売額がそのまま担保評価額となることも多く、戸建てや中古マンションなどと比較して最も高額な融資を受けることが可能になります。