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ドライエリア

外壁を囲む「空掘り」を作る
ドライエリアとは地下室のある建物に作られる地面を掘り下げた空間のことです。地下室の内部に作られるものではなく、地下室を持つ建築物の外壁を取り囲むように掘り下げて作られるスペースのことで、「空掘り(からぼり)」とも呼ばれます。
ドライエリアを設けるのは、地下室の採光や換気、防湿や通風、避難経路の確保や閉塞感の解消などのため。建築基準法では基本的に地下室は居室と認められませんが、ドライエリアを設ければ地下室を居室として使うことも可能になります。また、衛生上の観点から地下室には原則としてドライエリアを設けるように定めています。
居室として認められる部屋には十分な採光面積が必要ですから、居室となる地下室のドライエリア側の壁には窓が設けられます。言い換えればドライエリアは外に開かれていることが多いのですが、雨水の浸入を防いだりプライバシーを守るため、地上部分にはたいてい腰壁が設置されます。広いドライエリアであれば地下に庭のようなスペースを設けることも可能です。
地下室の暗いイメージを払拭できる
地下室と言えば暗くてじめじめしているイメージがありますが、ドライエリアを設ければ通気も良くなり、快適な空間を演出できます。地下室は防音・遮音性に優れているので、例えば音楽室にはもってこいです。温度変化も少ないので、寝室にも向いています。ドライエリアからの採光と室内照明を使えば、地下室とは思えない明るさを得ることもできます。
地下室には建築基準法の一部改正(1994年)により得られたメリットもあります。それは容積率が緩和されたことです。具体的には、一定条件を満たした場合に合計床面積の3分の1を限度として地下室の床面積が容積率に算入されなくなり、同じ建て坪の2階建ての1.5倍の広さまで建築可能になっています。つまり床面積40坪の2階建てしか建てられなかった敷地に、地上2階40坪、地下20坪の建物が建てられるようになったということです。
特に都会では敷地面積の確保が難しいため、3階建て住宅も人気があります。ところが3階建て住宅には高さ制限や容積率、各種の斜線制限など様々な規制があります。また、防火・構造上の配慮についても厳しい規制があるのです。しかし、地下室付き住宅であればより多くの土地に対応でき、ドライエリアをうまく使うことで普通の3階建てではできない演出を施すことも可能になります。