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ノンリコースローン

〝リコースしないローン〟とは?
不動産経営を志す場合、すべてを即金で賄う人は稀で、多くは何らかのローンを利用するのではないかと思います。例えば銀行では様々な不動産投資ローンが用意されており、「1000万円以上、2億円以下の借入」「団体信用生命保険つき」「保証料不要」など、多種多様な商品があります。そんな中で、特に個人投資家に注目されていると言われているローンに、ノンリコースローンというものがあります。
ノンリコースローンは英語では「non-recourse debt」と呼ばれます。recourseされないローン。recourseは「さかのぼる」という意味で、ノンリコースローンは「非遡及型融資」とも呼ばれます。では、何が「さかのぼらない」のでしょうか。
ノンリコースローンの大きなメリット
通常のローンで返済が滞ってしまった場合を考えてみましょう。債務者は債務返済のために物件を売却し、その代金で返済を行うことを考えます。しかし、その時点で売却代金が残った返済金額を賄えるかはわかりません。そして、全額を返済できないからと言って、返済義務はなくなりません。
これに対してノンリコースローンは「返済原資を家賃収入、もしくは不動産収入に限定しているローン」のこと。したがってローンの返済が滞った時、対象物件を売却すればそれ以上は債務にならない(さかのぼって請求されない)ようになっているのがノンリコースローンなのです。不動産投資家にとってオーバーローン(物件を売却しても債務が返済できない状態)に陥るのは最大の恐怖と言ってもいいでしょう。ノンリコースローンの場合は万が一の時でも物件を売却すれば債務を免れることができます。ブラックリストに掲載されることもないので、事業の立て直しもしやすいでしょう。さらに、ノンリコースローンは通常のローンとは異なり、債務者の返済能力より物件の収益力に注目したローンです。そのためさほど収入が多くない人でも利用しやすく、個人投資家にも注目されるというわけです。
なお、ノンリコースローンは不動産証券化において資金を調達する際に利用されることもあります。ノンリコースローンを利用することにより、もしもの時にも投資家が守られるようになっているのです。
ノンリコースローンを扱っている金融機関は少数
ただし、ノンリコースローンにもデメリットがあります。「物件の収益力に注目したローン」ということは、物件に対する要求が非常に高いということです。立地条件が悪かったりする物件では、ノンリコースローンを組むことは難しいでしょう。また、ローンを組む際に自己資金が多く必要になり、金利も高め。金融機関としては万が一の時のためにリスク対策を取っておく必要があるからです。こういった事情から、ノンリコースローンを扱っている金融機関の数はまだそれほど多くはありません。