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棟上げ

工事が一区切り終わる「棟木を上げる」工程
棟上げ(むねあげ)とは家を建てる際、骨組みができあがって、最後に棟木(むなぎ)を取り付けることを指します。棟木とは屋根の頭頂部に架けられる水平材のことで、取り付けのことを「棟木を上げる」と表現します。棟上げは建前(たてまえ)、建方(たてかた)と呼ばれることもあります。
棟木を上げる際には儀式が行われることがあり、これを「棟上げ式」「上棟式(じょうとうしき)」と呼びます。ただし、この儀式のことも「棟上げ」「建前」と呼ぶことがあるので、これらの言葉はアバウトな運用がなされているようです。本稿では「棟上げの儀式」で統一します。
棟上げの儀式はお祝いの会
棟上げの儀式は祭祀、お祝いの会です。家の天辺に棟木を付けるところまで無事に工事が進んだことを喜び、建物の守護神や匠の神、土地の神に対する感謝、職人さんに対する感謝を表します。また、残りの工事の安全や、無事に建物が完成することを祈願する儀式でもあります。細かい所は地域によって異なるのですが、神主さんは呼ばず、棟梁(とうりょう)に仕切ってもらうことが多いようです。

一般的には、施主は次のものを用意します。
  • 塩、お神酒、洗米
  • 料理、飲み物
  • 工事関係者へのご祝儀
  • 引き出物、折り詰め等

一般的な上棟式の進行は次の通りです。
  1. 棟梁が棟木に幣束(へいそく。捧げ物)などを立て破魔矢を飾る
  2. 建物の四方に酒・塩・米をまいて清め「上棟の儀」を行う
  3. 上棟の儀の後、施主のあいさつ、乾杯を行い直会(なおらい。宴会のこと)へ進む
  4. 工事に関わっている棟梁、工事関係者の紹介
  5. 施主から棟梁、工事関係者へご祝儀を渡す
  6. 手締めを行って、お開き

以前は「家を建てる時には餅まきを行う」という風習が一般的でしたが(散餅の儀、散餅銭の儀)、これも棟上げの時に行われるものです。 最近では行わないことも多くなっているようですが、餅まきはご近所にも喜ばれるイベント。
餅は紅白の餅が使われることが多く、地域によっては赤い紐を通した5円玉などをまく所もあります。最近では餅の代わりにお菓子をまくことも増えているようです。
棟上げの儀式は行わないことも
棟上げは、最近では儀式としての側面は薄れていると言われており、作り手側と親睦を深めたり、工事関係者を労うために行われたりしています。
もっとも、棟上げは必ず行わなければならないものではないので、棟上げ自体を行わないことも。逆に鉄筋コンクリートなどの建物であっても、あえて棟上げを行うこともあります。