強制執行

強制執行とは、権利者の権利が履行されない場合に、国家の権力によって強制的に実現してもらう手続きのことをいいます。賃貸借契約においては、借主が家賃の滞納を繰り返すような場合に、物件を明け渡してもらうために強制執行をすることがあります。

賃貸借契約の解除
賃貸借契約において強制執行の例として挙げられることが、貸主と借主の間における賃貸借契約の解除です。そもそも賃貸借契約の解除には、貸主と借主の合意をもとにした契約解除、法律で定められた要件による契約解除があります。
一方で、強制執行による契約の解除は、借主の家賃滞納の限度が甚だしく、貸主が賃貸契約の解除を申し出ても、借主がその申し出を受けない場合などに実行されることがあります。これは、継続的な賃貸借契約において貸主と借主の信頼関係が破壊したとされる場合に行うことができるものです。
信頼関係破壊の法理
継続的な契約となる賃貸借契約では、貸主と借主との間に信頼関係が破綻したとされるほどの権利の不履行がなければ、契約の解除を行うことはできません。これを「信頼関係破壊の法理」といいます。
つまり、一度の家賃滞納で契約を解除することは難しいといえます。ちなみに、強制執行による契約解除を実行するための家賃滞納の回数や期間などは明確に決められていません。
強制執行までの流れ
借主の家賃滞納が続く場合、貸主は家賃の支払い催告をします。口頭での催告に応じない場合は、内容証明郵便などで催告をします。その際に、期限までに支払いがなされない場合は契約解除となる旨を記します。支払いの催告をしても、支払いがなされない際は、家賃の支払いや物件の明け渡しの強制執行を申し立てるための裁判となります。裁判の判決が出れば強制執行の手続きを行うことになります。
連帯保証人
賃貸借や不動産購入の契約の際、連帯保証人を求められます。連帯保証人は、借主や買主が家賃やローンを支払えなくなった場合に、それらを代わりに支払う義務がある人のことをいいます。
家賃保証会社
賃貸借契約をする際、親族などの連帯保証人ではなく、連帯保証人を代行する家賃保証会社を利用するケースがあります。賃貸保証会社、滞納保証会社などとも呼ばれています。家賃保証会社を利用する場合、借主の審査が行われます。その審査に通れば、家賃保証会社を保証人としてつけることができます。家賃保証会社の審査がおりた場合、保証契約を締結する際に、保証料や事務手数料として家賃の1カ月分程度の費用がかかります。さらに、契約更新の際にも同じく費用がかかります。

強制執行との上手な付き合い方

「差し押さえ」には段階が必要
「強制執行」は「差し押さえ」とも呼ばれます。差し押さえをする主体は誰かと言えば、国家です。権利者の権利が履行されない(守られない)場合に、国家の権力によって強制的に実行してもらうので「強制執行」と言うわけです。 強制執行のできる財産は「不動産」「動産」「債権」の3つです。一番わかりやすいのは「給料の差し押さえ」かもしれません。借金がかさんで「返せない」と言う人に対して、債権の強制執行を発動して給料を差し押さえる。給料は法律により全額差し押さえることはできませんが、請求債権額を満たすまで毎月差し押さえることができるのです。 しかし、不動産にまつわる賃貸借契約における強制執行の場合は、金銭にまつわる強制執行よりも発動までに時間がかかり、立ち退かせるために費用も必要になります。強制執行が最も必要とされるのは貸主と借主の間における「賃貸借契約の解除」の場合ですが、賃貸借契約では「信頼関係破壊の法理」と呼ばれるルールがあり、「貸主と借主の信頼関係が破壊された」と認められなければ強制執行を行うことはできません。
強制執行が行われるまで(家賃滞納の場合)
  1. 借主が家賃滞納を継続
  2. 貸主は家賃を支払い催告(口頭、内容証明郵便等)
    ※期限までに支払いがなされない場合は契約解除となる旨を文書で通告
  3. 期限までに支払いがなされない場合は強制執行を申し立てる裁判
    ※家賃の支払い、物件の明け渡しを申し立てる
  4. 裁判の判決を受けて強制執行の手続きへ
強制執行の実行までには、このような段階を踏まなければなりません。しかも、弁護士を雇って強制執行を行う場合、トータルの費用は100万円前後かかることがあります(強制執行費用は後で借主に請求することもできますが、回収できるとは限りません。弁護士費用は請求できません)。それならばせめて弁護士を雇わず、自分で裁判に取り組もうと考える貸主もいるかもしれませんが、一般的には弁護士を雇った方が結果的に安上がりであるとも言われます。弁護士を雇うことで借主に貸主の“本気度”が伝わり、強制執行前に案件が解決しやすくなる。あるいは、物件の明け渡しを実行する執行補助者(物件内の荷物を運び出したり、廃棄したりする)に支払う額が高額なのですが、専門の弁護士であれば安く請け負ってくれる執行補助者を知っている場合があります。
公正証書を用いることもできるが…
なお、賃貸借契約を結ぶ際に公正証書で契約書を作っておくと、「家賃を支払わない場合には直ちに強制執行をされても異議ありません」という趣旨の文言を記載しておくことで、裁判を省略して直ちに強制執行を行うことができます。ただし、借主にとってはこれと言ったメリットがないので、賃貸借契約に公正証書が用いられることはほとんどありません。
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