平成29年度税制改正で抑えておくべきポイント(所得税・法人税編)

税務署

平成28年12月22日に閣議決定された、平成29年度税制改正大綱から、大家さんに影響がありそうな税制改正を、ピックアップして解説していきます。 なお、税制改正は、まだ正式に決定されておりませんので、ご注意ください(例年3月の国会承認で決定)。

1.配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

配偶者控除について、合計所得金額1,000万円を超える場合には、適用できなくなります。 合計所得金額900万円以下の場合、配偶者の方の収入が150万円以下(現行は、103万円)までは、38万円控除が適用できるようになります。

また、配偶者特別控除の適用が受けられる、配偶者の方の所得要件が拡大されます。 これらの改正は、平成30年分以後の所得税について適用されます。

2.法人税率の軽減の延長

中小法人の年800万以下に対する軽減税率を19%から15%にする措置を平成31年3月31日まで2年間延長されます。 したがって、平成29年度の資本金1億円以下の普通法人の実効税率は引き続き、下記になります。

  • 所得400万円以下 21.42%
  • 所得400万円超800万円以下 23.20%
  • 所得800万円超 33.80%

3.解説と今後の対策

配偶者控除の見直しについては、配偶者控除の適用の範囲内である年収103万円の壁を150万円に拡大する改正です。

これにより、働きやすくしようという改正になりますが、社会保険の扶養の範囲内になる130万円の壁(大企業は106万円の壁)があるため、改正の効果に疑問があるところではあります。

サラリーマン大家さんが気にするべきことは、給与所得と不動産所得で合計所得金額が900万円を超えてしまうと、配偶者控除が受けられなくなって、税金が高くなってしまいますので、配偶者の方を専従者に設定して給与を払ったり、法人化を検討するとよいかと思います。

また、以前の税制改正で決定されているところで、平成29年から、給与所得控除が年収1,000万円を超えると220万円で頭打ちになります。 高所得者のサラリーマンについては、さらなる増税になります。

それに対し、(中小法人の)法人税は、減税が維持されます。 個人の場合、所得が330万円を超えると所得税・住民税で、30%を超える税率になってしまいます。

ですから、法人で物件を購入して、法人税を払った方がお金が残るケースは、増えていくことになります。 今後も、物件を法人で取得するニーズは高まるでしょう。

さらに、法人の欠損金(赤字)の繰越期間が、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額から10年(現行9年)になります。

個人の所得税の純損失の繰越控除は、3年間になるので、ここでも法人有利になります。

個人増税、法人減税の流れということは、これから不動産投資される方も知っておかれるとよいでしょう。

この記事のコラムニスト

渡邊浩滋
渡邊浩滋(司法書士・税理士)
渡邊浩滋総合事務所。大家さん専門税理士・司法書士。渡邊浩滋総合事務所代表。「行動する大家さんの会(AOA)」発起人。
大学在学中に司法書士試験に合格。大学卒業後総合商社に入社。法務部として契約管理、担保管理、債権回収などを担当。退職後、税理士試験に合格。実家のアパート経営(アパート5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚し、経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出。資産税専門の税理士法人に勤務後、2011年12月独立開業。税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動中。従来のような確定申告書だけ作成する税理士ではなく、経営・財政・税金の観点から提案をする不動産専門の税理士・司法書士です。
[著書]「税理士が教える節税Q&A」(TAC出版刊)、「大家さんのための超簡単!青色申告」(クリエイティブ ワークステーション)他。
[担当]不動産登記
渡邊浩滋は個人間直接売買において決済完了後に登記手続きを行います。