建物内部のチェックポイント〜傾斜

室内

前回は、建物の外側からのチェックについて、説明させていただきました。 今回は、建物の内側からのチェックについて、説明させていただきます。

非破壊検査での調査の限界

あくまで、住宅診断は、非破壊検査ですので、調査の範囲は、目視できる範囲で決まります。ですので、その調査には限界があります。本来であれば、壁を剥がして、筋交の状況や金具の状態、腐朽菌やシロアリの状態を確認できれば一番理想です。しかし、原状回復のための復旧費用が、住宅診断調査費用の何倍もかかってしまいますので、費用対効果の観点から、いきなり破壊検査の2次診断を行うことは一般的ではないと言えます。ですので、まずは、1次診断として非破壊検査を行うことにより、2次診断の破壊検査が必要か否かも含め、調査することになります。

建物内部のチェックポイント

建物の内部についてのチェックポイントは、①勾配の傾斜、②水染み、③ひび割れ(クラック)、④断熱、⑤床下、⑥天井裏・小屋裏、⑦バルコニー、⑧お風呂、⑨筋交の有無、⑩耐震性などがあります。

まず、①勾配の傾斜については、オートレーザーや水平器などで、床の水平の程度を確認します。確認の結果、6/1000以上の場合には特に問題がある可能性が高いです。 部分的な傾きも勿論大切ですが、より長いスパンの3mで確認する必要があります。3mの範囲で18mm以上傾いていれば(18/3000=6/1000)、「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性」が高いと言えます。

また、3/1000以上6/1000未満の場合(9/3000以上18/3000未満)でも「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性」が一定程度存すると言えます。 最後に3/1000(9/3000)未満であれば、「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性」が低いと言えます。

次に、壁または柱の垂直の程度についても同じことが言えますが、3mのスパンではなく、2mのスパンにつき、6/1000(=12/2000)以上ある場合には、「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性」が高いと言えます。 なお、この基準は、壁、床の施工精度につきましては、平成12年建設省告示第1653号「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」第70条の規定に基づく「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」を参考としています。 品確法に基づく「建設住宅性能表示制度・既存住宅現況検査)」においては6/1000が目安となっています。財団法人日本建築防災協会「木造住宅の耐震診断と補強方法」においても6/1000を越える傾きが規準とされています。

したがって、私が所属している日本ホームインスペクターズ協会では、上記基準を勘案し、築10年以上の中古建物においては6/1000を超えるか否かを規準に調査をしております。6/1000以上の傾斜があっても瑕疵が必ずあるということではなく、症状によっては二次診断(詳細な調査診断)が必要であるという診断を行う場合もあります。 つまり、あくまで、「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性」の高低ですので、状況などにより異なる場合がありますが、一般的に6/1000以上の場合で、かつ、特に問題がありそうな場合には、破壊検査をお勧めしております。

次回は、②の水染みから説明させていただきます。

この記事のコラムニスト

皆川聡
皆川聡(不動産鑑定士)
株式会社あおい不動産コンサルティング。大手不動産鑑定会社、株式会社三友システムアプレイザルに従事し、その後独立。
不動産鑑定業務が主ですが、住宅診断(ホームインスペクション)も対応しております。財務諸表・会社法・税務等についても、スキームに応じた鑑定評価の立ち位置を認識しております。相続・事業承継関係等にも勿論対応させて頂きます。
賃料の評価・査定につきましても、数多くの案件を携わっており、得意にしております。
[担当]物件調査
皆川聡は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。