「掘り出し物件」を探す視点① 容積率超過物件

工事中のマンション

収益物件の価格が高騰する中で、優良物件を探すには少し違った視点で物件資料を見る力をつければ良いという話です。具体的には、違法物件であっても実は適法物件の場合があることがあり、それを見つけるということです。

この視点があれば、ポータルサイトなどで掲載されている出回り物件でも良い物件に仕立てることも可能かもしれません。違法物件には様々なパターンがあるのですが、金融機関が気にするのは、「容積率超過」と「建蔽率超過」です。

まず、容積率超過物件ですが、関西圏では実はかなり多いです。例えば、土地100㎡、容積率200%の土地に、容積算入床面積が200㎡を超えて建物が建っているものをいいます。

何故、建築基準法を違反して建築したかといえば、今から20年以上前は法令順守の意識が業界全体(金融機関含む)で低く、利回りを上げる際の裏技的な扱いで普通に建てられていたからです。建物を建てる際に市役所に提出する建築確認申請書では、1階を容積率算入面積から除外される車庫として申請し、その後1階も住居として建てて、そのまま完了検査を受けないというパターンが一般的です。

こうした物件は、融資が受けるのが難しいため、物件価格が割安になっていることが多いです。何故、多くの金融機関が違法物件に融資しないかといえば、コンプライアンスの問題です。違法物件でも融資をするということは、建築基準法を形骸化することになるし、監督官庁からの役所的指導も入っている様子と感じます。それでは、投資家としては、容積率超過物件をどのように検討していけばよいのでしょうか?ポイントとしては、違法物件と不動産業者や売主が認識している物件が実は適法であることを見極めることです。

物件の建築面積、延床面積を見る場合は、不動産登記簿の情報を見るのが大前提ですが、不動産登記簿上の面積は不動産登記法に基づいた面積を登記し記載されているわけです。一方、容積率が超過しているといっているのは、建築基準法上の諸規定に基づくものです。つまり、基本になる法律が全く異なるのです。

例えば、容積率算入床面積には、バルコニー、廊下、エレベーター等の通路部分、駐車場、地下の一部(建物全体の1/3を限度)は含まれません。しかしながら、不動産登記法上では、天井があり三方向以上が壁で囲まれていれば、全て登記床面積として算入されます。よって、登記簿上の数字だけ見ると容積率超過であっても、上記の容積率不算入の面積を除外することで、適法物件として扱える可能性があるということです。

最近は、不動産業者も優良物件が不足している中で、上記知識を用いて違法物件を適法物件に仕立てるのが一般化していますが、一般投資家の方でも、このような視点を持つことで、不動産市場では違法物件として安くなっている物件が適法の「掘り出し物件」として購入できる可能性があります。

違法物件を適法物件にする視点は他にもありますので、また次回続きを掲載致します。

この記事のコラムニスト

熊ヶ谷一幸
熊ヶ谷一幸(不動産鑑定士)
株式会社東洋不動産研究所 代表取締役。1966年(昭和41年)生まれ。平成元年 慶応義塾大学法学部政治学科卒業。
学生時代はバトミントンなどのスポーツとアルバイトに没頭。不動産を生かすのは人間次第であり、個人生活・企業活動の成長は不動産のあり方・価値を極大化し、さらに個人生活・企業活動を成長させる、という不動産とのベストな付き合い方を提唱。どのタイミングで取得して処分するのかを時間軸でとらえ、ソリューション型の不動産調査・鑑定を日々実践している。
趣味は、エアロビクス。大手スポーツクラブの特別会員となっており、時間があればあちらこちらのスタジオに出没しては、主に中上級者向けエアロビクスを楽しんでいる。来年は、競技エアロビクスにチャレンジしようと考えている。
[担当]物件調査
熊ヶ谷一幸は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。