基準地の地価上昇が意味するところ

国内景気 地価 上昇

先日、平成28年7月1日時点の基準地価が発表されました。全国平均では8年ぶりのプラスとなったようです。特に三大都市圏の商業地は7割以上の地点で地価が上昇しており、住宅地も横ばいから上昇に転じているとのことです。

こうした発表があると、まだまだ不動産価格は右肩上がりと認識されがちですが、この基準地価というのは7月1日時点での価格であり、今現在の相場をそのまま表すものではないと私自身は感じております。(基準地価は過去を表すものです) もちろん、ゼロ金利政策の影響からか、不動産投資に対する融資姿勢は積極的な金融機関が多いのは事実ですし、当社取引先の不動産への融資金利は以前では考えられないくらいの低い水準のようです。

しかしながら、「潮目」は変わりつつあると思います。東京カンテイによると、平成28年9月の東京23区の中古マンション価格は、これまでの19か月連続上昇がストップしたとのこと。当社のある関西圏では未だ僅かに上昇しているようですが、日本の不動産は東京に始まり東京に終わると歴史が示している通り、まずは東京圏から不動産価格は動き出します。

こういった統計だけではなく、現場の最前線にいると過去2,3年とは少し流れが変わりつつあるなとも感じています。当社で取り扱う鑑定価格5億円以下の住居系1棟マンションにおいては、相変わらずポータルサイトやレインズ掲載の物件は高いままだと思われます。

また、それほど好立地では無いアパートローン向け投資物件も相変わらず高い感じです。某銀行のアパートローンを利用する前提で中間省略業者が高値で買って、既存の新築ワンルームマンション購入層に売却している様子です。その銀行が既存借入を見なくなったのが大きいと思います。新築ワンルームマンションを何の疑いも持たず購入する顧客のため、自己資金ゼロの見かけ上の売主物件は魅力的に映っているものと思われます。

一方で、プロパー融資向けの投資物件については、今年に入ってから一部かなり良い物件も入ってきているようです。先日、ある金融機関の方と来年以降の見通しについて情報交換したところ、一定の属性は見るとのことですが、融資姿勢は変わらないとのことでした。

以上のことから、収益不動産相場の今後の展望を推測すると、融資は相変わらず、緩めの状況が続くため物件相場価格の大幅な下落はないものの、一部相対取引では格安物件が十分出る土壌が整ってきたように思われます。

そういった相対取引物件というものは、まずポータルサイトに載ることはありません。その地域に根付いた会社に集まることがほとんどです。優良物件を入手するには、こうした地元業者の開拓が一番効率が良いと思われますので、投資家の方々におかれましては、投資対象エリアの業者との関係を強くすることに注力されることをお勧めいたします。

当社もご縁を頂くお客様に好機を活かして頂けるよう、関西圏に特化して、今まで以上の情報収集力およびクライアントの拡大に努めていきたいと思います。

この記事のコラムニスト

熊ヶ谷一幸
熊ヶ谷一幸(不動産鑑定士)
株式会社東洋不動産研究所 代表取締役。1966年(昭和41年)生まれ。平成元年 慶応義塾大学法学部政治学科卒業。
学生時代はバトミントンなどのスポーツとアルバイトに没頭。不動産を生かすのは人間次第であり、個人生活・企業活動の成長は不動産のあり方・価値を極大化し、さらに個人生活・企業活動を成長させる、という不動産とのベストな付き合い方を提唱。どのタイミングで取得して処分するのかを時間軸でとらえ、ソリューション型の不動産調査・鑑定を日々実践している。
趣味は、エアロビクス。大手スポーツクラブの特別会員となっており、時間があればあちらこちらのスタジオに出没しては、主に中上級者向けエアロビクスを楽しんでいる。来年は、競技エアロビクスにチャレンジしようと考えている。
[担当]物件調査
熊ヶ谷一幸は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。