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国の豪雨災害対策・情報整備は急ピッチ 個人は「正常性バイアス」の罠をつぶせ(1/2ページ)

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文/朝倉 継道 イメージ/©︎paylessimages

避難勧告が廃止 指示に一本化

今年に入り、国による豪雨災害対策の動きが急ピッチだ。

そのうち、もっとも大きなニュースとして人々の耳に届いているのが、自治体が発表する避難情報の改正だろう。5月20日から始まっている。

これは、4月に改正災害対策基本法が成立したことによるものだが、一番のポイントは、市町村長による「避難勧告」を廃止したことだ。従来からあった「避難指示」に、今回一本化されている。 

国が定める大雨警戒レベルは、最高を「レベル5」とする5段階に分かれている。このうち、「危険な場所からの全員避難」が求められる上から2番目の段階が「レベル4」だ。 

事態がレベル4に至った際、これまでは避難勧告あるいは指示が行われていたところ、今後は、避難指示のみが行われることとなった。

以前から指摘のあった「勧告」と「指示」の違いの分かりにくさや、それにともなう人々の避難の遅れなどを解消するための試みとなっている。

繰り返そう。

「レベル4」=「避難指示」=「危険な場所から全員避難せよ」だ。即、行動に移したい。

「政府広報オンライン 警戒レベル4で危険な場所から全員避難!5段階の警戒レベルを確認しましょう」

「線状降水帯」 語による注意喚起

さらに、気象庁および国土交通省は、今年から「線状降水帯」というキーワードを大雨災害に関する国民への注意喚起に役立てることとした。こちらは6月17日から運用開始される。

この言葉は、昨年九州などを襲った「令和2年7月豪雨」や、2018年の「西日本豪雨」などで、すでに多くの人が知るところとなっている。具体的には、発達した積乱雲が帯状に連なり、線状の降水域を作り出して、豪雨をもたらす現象のことだ。

とはいえ、線状降水帯については、現状、細かい部分で専門家によりさまざまな定義が存在する。そこで、今後は国が一定の基準にもとづき、発生を確認、発表することとなった。

報道機関などが「線状降水帯」の語を安心して使いやすくすることで、より的確かつ身に迫った情報を国民に伝えるねらいとなっている。

そのほか、3月には国交省がウェブサイト「川の防災情報」を全面リニューアルしている。


国土交通省「川の防災情報」ホームページ

あまり知られていないが、全国の川の水位や洪水予報・警報、レーダー雨量、河川カメラの画像などをリアルタイムで提供している“川の防災ポータル”ともいえるサイトだ。

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