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業界の悪しきカルチャーを暴く(21)

部屋探しをする前に知っておくべき不動産ポータルサイトの裏側(1/2ページ)

大友健右大友健右

2016/09/05

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いまやネットで物件を検索するのは当たり前

みなさんは住みたい部屋を探すとき、どのような手段で情報を集めますか?

A/インターネットで検索する
B/住みたい街の不動産屋の店舗を訪問する

考える間もなく、「A」と答える人がほとんどでしょう。おそらく10人いたら7〜8人はそう答えるのではないでしょうか。すでに「住みたい街」が決まっている人でも、「まずはネット検索」というのが基本だと思います。

ですが、10年前に同じ質問をしていたら、その割合はまったく違ったものになっていたのではないでしょうか。

不動産業界のネット化は進んだか?

10年前といえば、YouTubeがアメリカでサービスを開始したばかりのころで(正確には2005年12月~)、TwitterやFacebookといったSNSメディアの存在も知られていませんでした(Twitterのサービス開始は2006年7月、Facebookの一般公開は同年9月でした)。

当然ながら、物件をインターネットで検索するという習慣もあまりありませんでした。当時の状況からいえば、生活の快適度を大きく左右する「住まい」の情報をインターネットから仕入れる人は、比較的ネットリテラシーの高い人でした。

ところがこの10年で、状況はずいぶん変わりました。あらゆる業界でIT化が進み、ネットで商品を直販するECサイトをはじめとする新しいサービスが生み出されました。家電量販店などで実際の商品を確認して、ネットで最安値の商品を購入するという購買行動も当たり前になっています。金融業界でさえ、フィンテックと呼ばれるITを使った新しいサービスが次々と生まれています。

では、不動産業界でもほかの業界と同じように、IT化が進んだかというと、実はそうはいいきれないのです。

不動産情報ポータルサイトは誰のためのもの?

こんなことをいうと、「物件情報をネットで検索する人がこれだけ多くいるのに、どうして?」と疑問に感じる人もいるでしょう。

たしかに、物件情報を集約した不動産ポータルサイトは、不動産業界におけるネットのサービスの代表といえるでしょう。かつてはわざわざ不動産会社まで足を運んで物件を紹介してもらわなければならなかったのが、スマホがあればいつでもどこでも物件を探せるというのは消費者にとってはメリットといえます。

ですが、その先はどうでしょうか。気になる部屋があったら、不動産会社に問い合わせをして空室状況を確認、内見をしたうえで気に入れば契約と、ポータルサイトが普及する前と変わらないアナログなサービスが提供されています。

なかには成約したらキャッシュバックが受けられる、金券がもらえるというサービスを提供しているサイトもありますが、業界の構造を大きく変えたり、取引の流れに革命が起きたりすることで、消費者に圧倒的なメリットを提供することはできていません。

それもそのはずです。なぜなら、不動産情報ポータルサイトの本質は、消費者のためのサービスではなく、不動産会社のためのサービス、いわば「不動産会社のための集客装置」でしかないからです。

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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