結局のところ「敷金」は返ってくるのか? 答えは契約書に書いてある(1/5ページ)
賃貸幸せラボラトリー
2021/09/28
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敷金は返ってくるのか?
賃貸住宅をめぐっての入居者・オーナー間の争いの中で、もっとも起こりがちなもの(だったもの?)が、原状回復に絡んだ敷金返還トラブルだ。
賃貸住宅を貸すオーナー(大家・貸主)側から、退去しようとする入居者に対して、「あなたが部屋を傷つけたり、住んでいる間に部屋が汚れたりした分の修繕費やクリーニング費用を払ってください。ついては、預かっている敷金からその分を差し引きます」
対して、入居者側からの、「納得できない。敷金はちゃんと返してくれ!」
こうした争いが繰り広げられるといったかたちだ。そのため、現在、賃貸住宅に暮らしていて、「私が預けている敷金って、どのくらい返ってくるんだろう」と、心配している人もたくさんいるだろう。
その答えだが、いまは大抵、皆さんの手元にある賃貸借契約書に書いてある。
クリーニング特約を探そう
では早速、契約書をめくってみよう。そして、書かれているなかから「特約」を探してみてほしい。なお、契約書の構成は、物件によりさまざまだが、基本的に以下のことは特約に書かれている。例えば、こんな具合だ。
(ケース1)
退去時、室内クリーニング費用〇万〇千円を借主は負担する
(ケース2)
退去時、室内クリーニング費用は借主の負担とする
読んで字の如くだ。こうした記載があるのであれば、これこそが、さきほどの疑問に対する答えとなる。
まず、ケース1……
見てのとおり、あなたはもう「詰んでいる」。〇万〇千円の支払いをすでに約束しているのだ。いわば、これは問答無用の決めごとだ。たとえ部屋を一切傷つけず、きれいに使用したとしても、そのことは基本として関係ない。そのうえでこの金額は、通常の流れでは敷金から差し引かれることになるだろう。
ケース2……
1と同様に、こちらでもあなたはすでに退去時の負担を約束している。ただし、金額は決まっていない。なので、想定より多額になるのか、ならないのか、結果は退去時まで分からない。とはいえ、決まっていない以上は、ケース1に比べ、話し合いの余地は広いともいえるだろう。
というわけで、こうした約束がある場合、いずれにしてもあなたの敷金は預けた額のままでは返ってこない。いくらか減らされるか、運が悪ければ、全額返って来ないこともあるだろう。残念!
ちなみに、こうした決めごとを「クリーニング特約」もっと正確には「通常損耗補修特約」などと呼ぶ。
なおかつ、この特約を設定する物件が、実は、近年非常に増えた。なぜなのか? 理由は、皮肉なことだが、国が入居者の保護を一生懸命に進めてくれたからだ。
この記事を書いた人
編集者・ライター
賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室