首都圏・関西圏と地方圏のギャップ大――心理的瑕疵物件の現状 (2/2ページ)
ウチコミ!タイムズ編集部
2020/09/09
心理的瑕疵物件の告知期間 地方では「半永久的に告知」が約20%
地方物件への投資の際、押さえておくべきリスクのひとつが浮かび上がったかたちとなる。なお、以上が公表されたのは、前述したとおり日管協短観の2019年度下期分においてで、日管協では、その前の「上期」分でも、事故物件に関する重要なデータをいくつか掘り起こしている。特に注目すべきなのが「重要事項説明における告知期間」を明らかにした調査結果だ。
各管理会社が「事故のあった事実を」「その後、どの時点まで」入居希望者へ告知しているのか? それを示すデータ(対象169社)となる。
出典/第22回 賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観 心理的瑕疵物件(事故物件等)における重要事項説明(重要事項説明における告知期間)」を基に編集部作成
ご覧のとおり、「入居者1回入れ替え時まで」が、35.1%ともっとも大きな割合を占めているが、一方で「半永久的に告知」「2回入れ替え時まで」も、約15%にのぼっている。
すなわち、以前よく言われていた、「事故後1人の入居があれば、その次は告知しないでよいと思っていい」…このセオリーは、すでに業界の主流とはいえない。世の中のビジネスにおけるCS(顧客満足)志向が強まる中での、必然の変化といってよいだろう。
次いで、上記をエリア別に見てみる(割合の多い上位3つまでをピックアップ ※「その他」を除く)。
出典/第22回 賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観 心理的瑕疵物件(事故物件等)における重要事項説明(重要事項説明における告知期間)」を基に編集部作成
オーナの立場としては厳しい「半永久的に告知」が、やはりその他エリア(地方圏)において数字を伸ばす結果となり、先の“地方のリスク”に符合するものといえる。一方、入居者の視点で考えれば、心理的瑕疵物件に抵抗がなければ、地方はある意味おトクであるといえるかもしれない。
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