非課税枠の活用から遺贈寄付まで。生命保険を使った財産の有効な遺し方(1/2ページ)
ウチコミ!タイムズ編集部
2020/06/22
万が一があったとき、周囲に迷惑をかけることがないようにしたい/©︎123RF
生命保険を活用した3つの相続対策
「自分が亡き後、周囲に迷惑をかけることがないようにしたい」と考えている人は多いのではないでしょうか。財産を多く持っていればいるほど、きちんと整理しておかなければ相続争いに発展しないとも限りません。不動産はたくさん所有しているけれど現金がないという場合には、遺族が相続税の支払いに苦慮するかもしれません。
「現金も不動産もそれほどないから大丈夫」と思っていても、東京23区内に戸建てのマイホームを所有しているだけで、相続税の支払いにそれなりの現金が必要になります。相続にまつわるトラブルを起こさないために、今回は生命保険を活用した相続対策をご紹介します。
生命保険を活用した相続対策には、主に次の3つの方法があり1つずつ要点をご説明していきます。
■非課税枠を活用した生命保険への加入
■現金の生前贈与を活用した生命保険への加入
■生命保険信託を活用した遺贈寄付
90歳までの定期保険でお得に死亡保険金を準備する~非課税枠を活用した生命保険への加入~
最初に生命保険の非課税枠を活用した相続対策からご紹介します。
遺産を相続するときには、相続税がかかります。ただし、「3000万円+法定相続人の数×600万円」までが非課税枠となっています。そして、生命保険に加入していた被保険者が死亡して遺族が保険金を受け取るときにも、次の額までの非課税枠が設けられています。
生命保険の非課税枠=500万円×法定相続人の数
たとえば、子どもが2人いる配偶者が生命保険金2000万円を受け取った場合、1500万円までは非課税で受け取ることができ、残りの500万円に対してのみ相続税がかかることになります。
しかし、現金で2000万円を相続した場合には、2000万円に対して相続税がかかることになるのです。※いずれも、相続する財産が「3000万円+法定相続人の数×600万円」の非課税枠を超えていた場合
さらに、配偶者と子ども2人のそれぞれが500万円ずつ受け取れる生命保険に加入しておくことで、遺産分割の一部をよりスムーズに行えるようになります。また、まとまった現金をすぐに準備できるため、非課税枠を超える財産を相続するときの相続税の支払いに利用することも可能になります。
では、どのような生命保険に加入すればいいのでしょうか。人は何歳まで生きるか分からないため、保障が一生続く終身保険に加入することで確実に保険金を残すことができます。しかし、終身保険は保険料が高いことがデメリットです。そこでチェックしたい商品が、保険期間が90歳までと終身保険に近いともいえる定期保険です。
50歳男性、保険金額500万円として比較してみましょう。
終身保険では、毎月の保険料が終身払いでも毎月1万円を超える会社がほとんどです。しかし、払込期間も保険期間も90歳までとした定期保険になると、保険料は毎月6000~8000円台。3000~4000円前後も安く抑えることができるのです。もちろん、90歳を超えて長生きをした場合には保険の効力は失われます。そこがデメリットといえますが、十分に検討する価値はあるでしょう。
この記事を書いた人
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