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失敗を恐れない——。20歳代からチャレンジしてきた不動産投資(2/2ページ)

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学⽣向け物件はTwitterで募集も

——2棟⽬が、17年3⽉に⼊居をスタートした学⽣向けで9室の1Kアパート。太陽光発電や1棟⽬の購⼊からそれほど期間は空いていませんが、銀⾏からの融資はスムーズに受けることができましたか。

もちろん、融資の交渉は簡単ではありませんでした。しかし、マイナス⾦利の影響もあり、1棟⽬のときに⽐べて銀⾏は融資をしたい状況にあると感じました。ただ、「2棟も⾃主管理ができるのか」ということが気になっていたようで、その点についてはかなり詰められました。

——どのようにして理解してもらいましたか。

まずは実績を⾒せる必要があると考え、⾃分の客付け能⼒をアピールしました。1棟⽬の客付けの失敗も正直に話しつつ、客付けの⽅法、空室の埋め⽅、いかに満室経営を維持できるかといったことをプレゼンし、融資を受けることができました。

——2棟⽬の経営はいかがでしたか。

⼊居スタートは3⽉に設定し、近くに⼤学があるのですぐに満室になりました。施主検査もしっかり⾏い、⼊居者様からのクレームはまったくありませんでした。

——客付けに関してはどうですか。

客付けについてもかなり勉強しました。1棟⽬のときは、30社以上の仲介会社を回りましたが、2棟⽬では、学⽣物件やその地域に強い仲介会社を調べ、最終的に1社に絞り込んでお願いをしました。専任媒介契約をしたわけではありませんが、1 社に絞ったことでうまくいったと思います。

——Twitterでの⼊居募集も⾏ったそうですね。

⼤学名や地域名をキーワードにツイートしました。学⽣さんたちはけっこう検索していたようで、5〜6件のダイレクトメッセージが届きました。そのうち、⼊居が決まった⽅も1⼈いらっしゃいます。

——SNSでの⼊居募集は注意点もありそうですが、⼼掛けたことはありましたか。

まず、私⾃⾝が「怪しそう」と思われないようなツイートをして、丁寧な返信を⼼掛けました。また、私の顔写真をアイコンに使って、安⼼感も与えるようにしました。直接お会いするときには、⼈がたくさんいるようなカフェなどを選び、お互いに安⼼できる空間で会うようにしていました。

⾃主管理における⼊居者との距離感

——本業のお仕事もあるそうですが、どのように⾃主管理と本業を両⽴させていますか。

賃貸経営も7年⽬なので、ポイントは分かってきました。すでに1棟⽬を売却していることもあり、賃貸経営にそれほど時間はとられません。なにか連絡があればその都度対応すればいい状態ですし、共⽤部のお掃除は1〜2週間に1回、私が⾏っています。

——⼊居者とはコミュニケーションをとっていますか。

お掃除をしているとき、顔を会わせれば挨拶をする程度です。学⽣向け物件の⽅ではコロナ禍で騒⾳トラブルもありましたが、こちらがきちんと対応すれば学⽣さんたちは素直に聞いてくれます。ただ、ファミリー向け物件の⽅では、⼊居者様との距離の取り⽅が難しいと感じたことがありました。

——どういうことがありましたか。

30歳代のご夫婦やご家族の⼊居者様が多く、全体的に私よりも年上といった感じです。そのせいか、顔を会わせる機会が増えると、いい距離感を保てなくなってしまって。夜中に電話で相談事をされたり、あるいはちょっとしたことでもクレームをつけてきたり……。私が若い⼤家だったということもあると思いますが、⼊居者様との距離感については考えさせられました。

先を⾒据えた⾼齢者施設が必要

——20年4⽉からはサービス付き⾼齢者向け住宅(以下、サ⾼住)を始めていますね。

約2億円という⼤きな額が動く投資で、サブリースも含めて、管理などすべてがパッケージ化されているタイプで、運用の流れなどかなり下調べをしました。その結果、オーナーと介護事業者が共倒れしないようなスキームが確⽴されており、また、その地域でサ⾼住のような介護系の物件が必要とされていることもあり、事業をスタートしました。

——サ⾼住は⼀度⼊居されると、退去があまりないというイメージがあります。⼊居率はどの程度ですか。

平均すると95%くらいです。ただし、⼊れ替わりは意外と多くあるんですよ。私も退去が少ないことがメリットだと思っていたので、その点については予想外でした。

——退去の理由にはどんなことが挙げられますか。

例えば、サ⾼住の環境が⾃分に合うかどうか、お試しのような気持ちで⼊居される⽅もいます。⼈間関係も含めて、環境が合わなければ退去につながります。また、体調が悪化して⼊院しなければならなくて退去するケースも少なくありません。“サ⾼住は終の棲家”というイメージを持つ⼈も多いかもしれませんが、現実にはそういうわけにはいかないようです。

——今後、サ⾼住はどうなっていくと思いますか。

これから⼗数年は⾼齢者が増えていくフェーズにあります。しかし、その後は減少し、サ⾼住も空室が⽬⽴つようになるかもしれません。先も⾒据えた、本当に有意義な施設が建築されているのか、よく考える必要があるかもしれませんね。

——最後に、今後の⽬標について教えてください。

⾃主管理の賃貸経営は継続していきますし、不動産投資を拡⼤する可能性もあります。その⼀⽅で、私は、「表情」と「⾳声」の感情を同時にAI分析できるシステム『comiproAI』を開発し、AIを活⽤した企業研修や、ウェビナー時の視聴者の集中⼒の可視化、AIの開発受託を本業としています。21年にスタートしたスタートアップ企業ですが、IPOを⽬指しています。不動産投資家の皆さんに弊社の株を買っていただける魅⼒的な事業にしていくこと、これが私の現在の⽬標です。

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この記事を書いた人

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン『ウチコミ!タイムズ』では住まいに関する素朴な疑問点や問題点、賃貸経営お役立ち情報や不動産市況、業界情報などを発信。さらには土地や空間にまつわるアカデミックなコンテンツも。また、エンタメ、カルチャー、グルメ、ライフスタイル情報も紹介していきます。

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