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あなたはなぜその「住宅」を選んだ? 国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査」(1/2ページ)

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文/朝倉 継道 イメージ/©1xpert・123RF

国交省の「令和2年度住宅市場動向調査」の結果の概要

この4月に、国土交通省が「令和2年度住宅市場動向調査」の結果を公表している。「住宅政策の企画立案の基礎資料とすることを目的」に、平成13年度から行われているものだ。

19年4月から、翌20年3月までの間に、

・注文住宅
・分譲住宅(一戸建て、マンション)
・既存(中古)住宅(同上)
・民間賃貸住宅

これらの各住宅に、住み替え・建て替えをした世帯に加え、

・住宅リフォーム

を行った世帯も調査対象となっている。

調査エリアは、

・注文住宅、既存(中古)住宅 …全国
・分譲住宅、民間賃貸住宅、リフォーム住宅 …三大都市圏
(設問によって変化あり)

調査期間は、

・2020年9月1日~12月14日

多項目にわたる質問と回答が、400ページ以上におよぶ報告書にまとめられた綿密な内容となっている。

そのうちのいくつかを紹介したい。

まずは、「住宅の選択理由」だ。ここでは、

・注文住宅
・分譲一戸建て
・分譲マンション
・中古一戸建て
・中古マンション
・民間賃貸住宅

それぞれの住宅について、「なぜその種類の住宅を選んだか?」を対象各世帯に対し尋ね、複数回答で答えてもらっている。(この設問においては、注文住宅の調査地域は全国、その他は三大都市圏)

つまり、「市場がそれぞれの住宅に求めているバリュー(価値)は何か?」が、浮かび上がってくるかたちだ。

一戸建ての人気はマンションを超える

特徴的な結果をいくつか挙げてみよう。

まずは、ズバリ「一戸建てだから(一戸建てを選んだ)」あるいは「マンションだから(マンションを選んだ)」との答えだ。

つまり、これは「一戸建て」「マンション」という、それぞれの住宅の“かたち”に対する人々のこだわりを示す数字となる。

「注文住宅(を取得した世帯)」…44.1%
「分譲一戸建て(〃)」…61.7%
「分譲マンション(〃)」…44.9%
「中古一戸建て(〃)」…47.2%
「中古マンション(〃)」…42.5%

ご覧のとおり、分譲一戸建てを取得した世帯で、割合が群を抜いて高い。

一方、同様に高くなりそうな注文住宅取得世帯の数字は低いが、実は、この44.1%というのは、同世帯が挙げる選択理由=こだわりのなかでは、もっとも高い数字となっている。

中古一戸建ての数字がやや高いことも併せ、以上は、「マンションがほしいからマンションを買う」とする市場のモチベーションよりも、「一戸建てがほしいから一戸建てを買う」というモチベーションの方が、傾向として高いことを示す結果といえるだろう。

一方で、「住宅の立地環境がよかったから」を挙げた割合を見ると、こうなっている。

「注文住宅(を取得した世帯)」…35.3%
「分譲一戸建て(〃)」…46.4%
「分譲マンション(〃)」…69.4%
「中古一戸建て(〃)」…45.5%
「中古マンション(〃)」…54.8%
「民間賃貸住宅(に入居した世帯)」…46.7%

ご覧のとおり、分譲マンションでの割合が高く、ほぼ7割にまで数字を伸ばしている。次いで高いのは中古マンションということで、「マンションへのニーズは立地へのニーズ」ともいえそうな傾向が、浮かび上がる結果となっている。

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