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「突然の家賃の値上げ」の補足です!?

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前回の記事の補足をお話しします。ブログの中でお話ししました、「弁済供託」の話ですが借地権などの更新や建物の建替えの時のトラブルなどでも使えます。と言いますか、一昔前はそちらのトラブルの方が問題も大きく、社会問題にもなっていました。ちょうど、バブルの時代です。

 

日本の景気も最高潮に良い時代でしたので、日本中で地上げが行われていました。以前のブログでも「地上げ」の件についてはご紹介しましたので、詳しくはそちらをご覧ください。「地上げ」の主な対象地は、借地権の多い土地がターゲットになっていました。

 

なぜ? かと言えば、所有権の多い土地を「地上げ」する事に比べて、借地権が多い土地の「地上げ」は比較的楽なんです。所有権というのは、土地も建物も一人の方が持って、ほとんどの場合、自宅として住んでいます。権利的にも安定した物です。対して、借地権は建物は住んでいる方等が持っていますが土地は別の方(地主さんなど)が持っている形になります。

 

つまり、住んでいる方の権利自体が不安定と言いますか、自分だけの意志で建て替えや売買が出来ない権利なんです。その上、建物の所有者と土地の所有者の利害が一致しない事が多いので、なおさら不安定な状態があります。

 

40年も50年も昔の日本でしたら、地主さんと借地権の方も非常に仲良く暮らしていましたが、土地の値段の高騰や土地の所有者の代変わりなどを繰り返すうちに、昔の様な良好な関係も壊れて、トラブルの巣窟の様になってしまいました。こんな事から、借地権が多い地域が狙われたんですね。

 

トラブルの内容と言うのは、殆どが「借地権の更新」と「借地権上の建物の建替え」でした。

 

借地権自体の発生は、権利として地主さんから購入した方は殆どいず、借地権の立場の方の権利が著しく弱く、問題が多かったので「借地借家法」の整備で作られた様な一面があります。その上、借地権と地主さんの土地に対する権利割合は、地主さんが4割・借地権が6割という形が基本ですから地主さんからすると、土地を取られた様な感覚になるのでしょう。

 

こういった背景があって、更に地主さんが借地権者から貰う地代についても、値上げ出来る幅が年3~5%程度。

 

物価が下がっている現在の様な世の中でしたら問題も起きないでしょうが、その当時は空前の好景気。昭和40年代ごろは、ラーメンなども1杯50円の時代でしたが昭和50年の後半には、1杯500円程になっていました。つまり、単純に物価が10倍近くになっていたわけです。

 

そんな世の中では、地主さんの値上げはとても追いつかない…。

 

実際、東京の品川区辺りでも昭和60年頃に80坪の土地の借地で、地代45000円なんて土地が沢山ありました。当時だって、ワンルームマンションを借りるのに6~7万円はしていましたから、凄い安いですね。

 

それほど、物価の高騰に追いついて行かない感じだったんです。その反面、借地権の方は「建物の建替え」や「借地権の更新」等については、地主の承諾が無いと出来ませんでした。この下りを見て頂くだけでも、借地権者と地主さんの関係が悪くなっていくのがお分かり頂けるのではないでしょうか?

 

現在でも、建替えや更新時の条件、例えば承諾料を多額に請求したり、更新拒絶や著しい地代の値上げなど…。こんなケースに地代を「供託」したり、という使い方が出来るわけです。

ただ、前回のブログでも触れましたが、「供託」というやり方はある意味、最終手段です。地主さん等が、交渉拒絶などの状態でない場合は、チャンと交渉をした方が早く解決できる事も多いので、交渉努力はすべきです。その上で、交渉が難しくなって来たり、交渉決裂の様な場合に専門家に相談しながら使うのがベストと思います。いずれにしても、頼れる「専門家」は必要と思います。現在、借地権問題などでお困りの方は参考にしてください。

 

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