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高齢者の居住問題 『愛ある大家』はどのように解決へ導くのか(1/2ページ)

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赤尾 宣幸(あかお のぶゆき)/「高齢者向きアパートの会」「DIYを楽しむ会」主宰。区分・戸建て・アパート計25部屋を保有し、賃貸経営歴は26年。60室を超えるリフォーム実施経験もあり、DIYなどに造詣が深い。また、デイサービスや介護タクシーの事業を17年間営む経営者でもある。著書に「DIY賃貸セルフリフォーム&リノベでファン・ファン・ファン」「多世代入居で利回り30%!高齢者向きアパート経営法」(いずれもセルバ出版刊)がある。 PHOTO/©︎Photo Current 66 吉田達史

賃貸業界の大きなマーケットと言われる“高齢者の居住問題”に向き合い、社会問題解決に日々邁進している赤尾宣幸オーナー。「高齢者向きアパートの会」「DIYを楽しむ会」の代表でもある。どのような想いで賃貸経営を行っているのかを伺った。(聞き手/尾崎 光 文/向園 智子)

――賃貸経営を始めたきっかけを教えてください。

会社員時代、この先自分がもらえる年金は少なくなるだろうと考えていました。ですが、自分の年金だけで親の面倒を見ないといけない状況だったため、なんとかしなくてはいけないと考えていました。そして、親の老後のためにマンションを購入し、親と同居してもらう妹夫婦に格安で貸したことが賃貸経営を始めるきっかけとなったのです。

その後、少しづつ部屋数を増やしていきました。そして、妻の夢だった介護事業を始め、事業が軌道に乗ったのを機にサラリーマンを卒業しました。定員8名の小規模なデイサービスを始め、利用者さんと接していく中で、単身高齢者はまだ1人で生活できるのに賃貸物件を借りることは難しく行き先は老人ホームしかないという高齢者の居住問題を目の当たりにしたのです。この社会問題を少しでも改善できないか考え、デイサービスを絡めた高齢者限定ではない、高齢者“向き”アパートの運営を始めたんです。

――赤尾さんの行う「高齢者向きアパート」とはどんな特徴があるのでしょうか。

高齢者向きアパート、といっても普通の賃貸アパートです。それを高齢者向きにアレンジしています。そのため大掛かりなリフォームも必要ありません。高齢者を受け入れるリスクを考え、ひとつづつ潰しかたちにしていきました。そして、建物に高齢者だけではなく若い世代の方にも住んでもらい、助け合いができないかと考えました。例えば、1階に高齢者、2階にはワーキングマザー世帯。仲良くなれば残業で遅くなっても高齢者が見てくれるかもしれないですよね。ワーキングマザー家族で高齢者の見守りを行うことができ、高齢者の元気のもとや、母親の助けにもなると思うんです。そこに、介護サービスを利用すれば、孤独死の心配はほぼなくなります。

また、別の狙いもあります。今後、団塊世代が過ぎ去ると一気に高齢者が減るでしょう。そうすると老人ホームは空室が増えてくると思います。しかし、老人ホームのバリアフリー施設は転用が難しい。壊すとなるとお金がかかる。このままだと“空き老人ホーム”が、深刻な問題となります。高齢者向きアパートが増えれば、取り壊さなければならない老人ホームが削減できますよね。少しでも高齢者に関わる社会問題が改善される方向に向かえば、と思っています。

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この記事を書いた人

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