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耐火構造

耐火構造は「部分」に求められる基準
住宅などは風雨や地震にある程度まで耐えることが求められますが、火災に関しても同様です。特に火災は隣の建物に延焼する可能性もあります。このため建築基準法では耐火構造、準耐火構造、耐火建築物、準耐火建築物といった用語が登場します。今回は耐火構造を中心にご紹介します。
「耐火構造」と「耐火建築物」は、字面だけ見ると違いがわかりづらいのですが、指し示す内容はまったく異なります。耐火構造とは「部分の構造」のこと、耐火建築物とは「全体」のことです。耐火建築物は火災時の火熱に対し、一定の条件を満たす建物のことです。一つ下の概念として準耐火建築物があり、耐火建築物であればすべて準耐火建築物の要件を満たします。法令では建築物の用途と規模に応じて耐火建築物であることが要求されます。耐火建築物には主要構造部が非損傷性(少なくとも避難が終わるまで燃え落ちないこと)と延焼防止の性能を持つこと、火災の規模によっては一部を修繕すれば再利用できるような建築物であること等が求められます。そして耐火建築物であることの条件の一つに「耐火構造であること」が含まれているのです。全体を俯瞰すると、耐火建築物=耐火構造+防火設備という構成になっています。
避難が済むまで持ちこたえる性能
耐火構造では、主要部分をブロックや鉄筋コンクリートなどの耐火材料で構成します。たとえ焼けたとしても、補修程度で再使用できるような構造が耐火構造とされます。建築基準法第107条には「耐火性能に関する技術的基準」が定められており、例えば「最上階及び最上階から数えた階数が2以上で4以内の階」の建築物の壁(耐力壁に限る)、柱、床、梁は1時間火災及び火熱にさらされても「構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること」などが耐火構造には求められます。建築基準法ではこのような要件が30分~3時間の範囲で部位等によって定められています。これは、火災が起きた場合に消し止められるまで平均して30分~3時間の時間がかかるからです。
また、建築基準法第27条には「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」が定められています。例えば3階建て自動車車庫の主要部分は耐火構造である必要があります。他にも2階建て病院、3階建て共同住宅、3階建て学校等の主要構造部も準耐火構造か耐火構造であることが求められていましたが、平成27年6月1日に施行された改正建築基準法によって特定避難時間(在館者のすべてが地上までの避難を終了するのに要する時間)という考え方に変更されています。