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耐震構造

地震の揺れに抵抗する
耐震構造とは「地震の揺れに抵抗可能な強固な部材や筋交いなどの使用により建物の強度を確保する構造」のこと。現在の建築基準法の前身は1919年(大正8年)に公布された市街地建築物法ですが、この時点では耐震構造に関する規定はありませんでした。しかし、その後に起こった関東大震災をはじめとする大地震により建築物を扱う法律は耐震構造を規定するようになり、1981年(昭和56年)以降の建築基準法では新耐震基準と呼ばれる新しいスタンダードが定められています。
地震に対する安全性を高める構造としては、耐震構造・制震構造(制振構造)・免震構造の3つがあります。これらはそれぞれの特徴をよく表している用語で、大まかに言えば耐震構造は「地震に耐える構造」、制震構造は「地震による揺れを制御する構造」、免震構造は「地震による揺れを免れる構造」だと言えます。
耐震構造は「堅さ」と「強さ」で地震に耐える
耐震構造は「地震に耐える構造」なので、地震によって建物が倒れたり崩れたりしないことを目的としています。現在の新耐震基準では、震度6~7程度の大規模地震が起きても建物の構造部分が倒壊・損壊せず、人が下敷きにならない耐震性能を求めています。これは1978年の宮城県沖地震を受けて改正されたもの。阪神・淡路大震災では旧耐震基準の建物の70%近くの建物が小破~大破したのに対し、新耐震基準の建物では被害を30%以下に抑えることに成功しています。
耐震構造で追求されるのは建物の堅さと強さです。そのため次のような特徴があります。
  • 建物の倒壊、損壊はないが、地震の規模によっては損傷を生じることがある
  • 揺れが激しい。特に建物の上部ほど大きく揺れる。地震対策をしていないと家具が転倒、落下、移動することがある。
  • 揺れが繰り返すと建物の損傷が増す恐れがある。大地震の後には損傷を調べ、可能なかぎり修復を行った方が良い。
  • グレードに応じて経済的な設計にすることができる。
制震構造の場合はダンパー(振動を減衰させる装置)でエネルギーを吸収し、免震構造はアイソレーター(周期の短い激しい揺れを長い周期のゆっくりとした揺れに変える装置)で建物を地盤から浮かせるので、基本的に建物そのものが損傷を受けることはありません。耐震構造の場合は建物の強度を超えた揺れを受ければ損傷するので、震災後は修繕にコストがかかる可能性があります。
なお、地震に耐える何らかの構造が採用された建物にはすべて耐震構造が備わっているとも言えますが、ハウスメーカーなどの中には独自の耐震構造を打ち出しているところもあります。