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補修費

混同されやすい「補修」と「修繕」
賃貸マンションやアパートでは「補修費用」あるいは「修繕費用」が問題になることがあります。「補修」と「修繕」は混同されることもありますが、厳密には意味が異なります。
  • 補修…壊れたり傷んだりした部分を繕うこと。建築においては建物の現状を実用上支障のない水準まで回復させること。
  • 修繕…壊れたり悪くなったりしたところを繕い直すこと。建築においては建物の現状を新築当初の水準まで回復させること。
違いが微妙なのですが、例えば傷んだ道路を直すことは「補修」と言われることが多いようです。道路全体を直さなくても、道路が実用に耐えれば問題ないからです。これに対し、道路の照明灯や街路灯の場合は「修繕」という言葉がよく使われます。これは電球を取り替えるなど、不具合を直せば元通りの機能が復活するからだと考えられます。
ちなみに「改良」は性能や機能を向上させること、「改修」は現時点で望まれる水準まで回復・向上させること。「改修」は修繕・改良を合わせて行うものと考えられます。
原状回復費用と補修費
賃貸マンションやアパートでは日常的に「補修」を行うことがあります。大規模修繕の場合は外壁塗装や屋上防水などをリニューアルするので「修繕」と言われます。
「原状回復」の場合は基本的に「修繕」になります。貸借人が借りていた部屋から退去する場合、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では「賃借人の故意・ 過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」が「原状回復」であると定義されています。ざっくり言えば、それ以外の建物価値の減少、つまり「畳が日に焼けた」等の経年変化や通常の使用による損耗などの修繕費用は貸主が負担することになっています。貸主は傷んだ部屋を元通りにして次の入居者に貸さなければならないので、当然「修繕」する必要があるわけです。
これに対し、貸借人が不注意等で部屋にダメージを与えてしまった場合は、貸借人に原状回復義務があります。つまり修繕費用を負担しなければならないということです。
原状回復にかかる費用は「原状回復費用」と呼ばれます。一方、「補修費」という言葉は意外と使われません。「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に記載されている「賃貸住宅標準契約書」では原状回復について「修繕」という言葉が使われており、「補修」という記載はありません。ただし、同ガイドラインが示す裁判の判例には「補修」という言葉が多数登場しています。また「賃借人の負担単位」一覧表でも「補修」という言葉が使われています。
賃貸契約書には「補修費分担金」などが設定されている場合があります。通常であれば敷金に分類される費用だと考えられますが、敷金とは別に設定されていて返却されない料金になっていることもあるので、注意が必要です。