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ROA

総資産が利益獲得にどれだけ貢献したのか
不動産投資において、自己資金をどれだけ有効に活用できているかを測る指標として有名なのはROE(Return on Equity)ですが、もう1つ似たような指標としてROA(Return on Asset)があります。ROAは投下した資産の総体が利益の獲得にどれだけ貢献したのかを表す指標で、「総資産利益率」「総資本利益率」などと呼ばれることもあります。

ROA(%)=当期純利益÷総資産×100

ポイントは「総資産」です。総資産には、労働の対価として得たお金や友人などから得た返済義務のない出資といった「自己資本」と、金融機関からの融資やクレジットカードなどのキャッシング、家族や親族からの借入などの「他人資本」が含まれます。借入金によって拡張した資産も含んでいる点がROEとの違いです。
事業において借入を行うのは悪いことではありません、。不動産投資ではまとまった額の初期投資が必要であり、人によっては準備に何年もかかります。融資を受ければ準備期間を短縮でき、自己資本よりも大きな資金で不動産投資にチャレンジできます(レバレッジ効果)。同時に、ローン残高が大きくなれば、それだけ事業が行き詰まるリスクも高まります。第三者がROAで投資の効率性や収益性を評価するときは、総資産に返済が義務付けられた借入金が含まれていることを忘れてはいけません。
なお、ROAにはもう1つ計算式があります。

ROA=売上高利益率×総資本回転率

この式は利益率の改善や回転率の改善でもROAを上昇させられることを意味しています。
ROAとROEを比較する
ROAとROEはよく似ていますが、ROEは自己資本のみに着目した指標です。よって次のような比較が成り立ちます。
  1. ROAとROEの値が近い……その事業は無借金経営に近い
  2. ROAがROEより極端に低い……その事業は借入金に依存している
  3. 他と比べてROAが高くROEが低い……その事業は無借金経営に近い(ただし事業で得られた収益を配当に回すのが精一杯かもしれない)
  4. ROAとROEが共に高い水準の数値を示している……借入金を有効に活用し利益を拡大させている
ROAはいわば収益性における総合力を測る指標であり、人によっては絶対的な購入基準の1つに設定しています。ただし、自己資本がほとんどなくても効率良く利益を生み出していればROAは高くなりますので、他の指標を使って安全性を分析することも必要でしょう。
(参考:「不動産投資OWNER’S」サイト「不動産投資用語集」)