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不動産業界における担当者ボーナス(担ボー)のしくみとは?(1/2ページ)

大友健右大友健右

2016/08/23

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物件の販売図面をよく見ると・・・

担当者ボーナスとは、かいつまんで言うと、売主である業者が成功報酬として仲介業者に仲介手数料を支払う際に、手数料とは別に、仲介業者の「営業担当者」に渡す「謝礼金」のことです。取引業者から担当者に渡るリベート報酬というほうが理解しやすいかもしれません。もうちょっと悪趣味な言い方をすれば、「営業マン個人に渡るウラ金」みたいなものです。

みなさんが家の購入を考えて不動産会社を訪れたとき、その業者が取り寄せてくれた物件の販売図面を見せてもらったことがある人もいるでしょう。たとえば、下記の図表1に示したような図面です。

その販売図面には何が描かれていますか? 現地の区画の概略や地図、セールスポイント、建物の間取り図などが示されていて、右のほうに物件種目、価格、所在地、面積、権利関係、地目、本体設備などが記されています。

ここまでは、だれでもわかりますね。では、その販売図面の下のほうを見てください。そこには、仲介業者(不動産会社)の名称や所在地、担当者名などが並んでいます。実は、ここにカラクリがあり、暗号があるのです。この販売図面は「オビつき」といって、その裏には一般の消費者は見ることができない次のような言葉が記されています。

「手数料:6%。業法にしたがってください」

一般の消費者であるみなさんは、この言葉の上に仲介業者名や連絡先などが記された「オビ」を貼られてコピーされた販売図面を見ているというわけです。

では、この業法とはどういうものか。それは宅建業法=宅地建物取引業法のことで、そこには物件の金額に応じた手数料が定めてあります。手数料の額は普通は家を買うとなると400万円以上になりますので、「(物件価格×3%+6万円)+消費税」です。

ところが、その販売図面のなかに「手数料:6%。業法にしたがってください」と記されたものがあるのです。ちょっとおかしいと思いませんか? 物件価格の3%が仲介手数料の基準なのに、なぜその倍の6%と記されているのか。実はその3%が「担ボー」であり、その担ボーが付いている物件が「担ボー付き物件」なのです。

ちなみに、この表記が「3%+6万円」なら、みなさんが売主業者であったとしても業法にしたがっているのですから、納得して支払うでしょう。でも、6%となるとその倍の数字です。金額に置き換えてみると、5000万円の家なら156万円+消費税の仲介手数料に150万円を上乗せすることになるのです。

「担ボー」は家を買うあなたが直接支払うわけではありませんが、めぐりめぐってあなたが肩代わりして負担しているのと、なんらかわりがありません。

こんなことがだれにも知られずに普通に行われているのです。「担ボー」は売主業者が仲介業者の営業マンに支払う報酬ですが、そうした報酬が支払われているとなると、営業マンはその報酬ほしさに営業しているのか、と思うのも筋が通った考えです。「結局、不動産会社の営業マンは、より自分の儲けになりそうな家ばかり紹介するのか」と、猜疑心の塊になってしまう人もいるでしょう。

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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