ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

業界に存在する「中古住宅が流通しづらい」決定的な欠陥とは?(1/2ページ)

大友健右大友健右

2016/08/09

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

消費者と不動産業者の間には圧倒的な情報量の差がある

これまでの連載で、不動産流通の実態をいくつかの角度から見てきました。消費者の立場から不動産業界を見て、どう対応するかを考えれば、「どうやったって勝ち目はない」と思わざるを得ません。不動産業界に対して、常に後出しジャンケンを強いられる状況が続いてきたのです。

では、本当にどうやっても太刀打ちできないのでしょうか? 決してそんなことはありません。前回までの連載でお伝えしたように、消費者と不動産業者の間には圧倒的な情報量の差がありますが、それを突き崩せばよいからです。

これまで、情報量は消費者を1としたら業者は99。このことは、かつて不動産業界でトップ営業マンとしてやってきた筆者の経験からも間違いありません。ただ、その差を埋めることは実は簡単なことなのです。

では、その情報の差とはどのようなことなのかをまず見ていきましょう。下記のマンガをごらんください。

これは「レモンの原理」という経済学の学説をモチーフにしたもので、この原理では「情報の非対称性がある業界は市場の信頼性がなくなり衰退する」ということが説明されています。

情報の非対称性が存在するマーケットはやがて廃れる
情報の非対称性についてもう少し詳しく見ていきましょう。

これはジョゼフ・スティグリッツ(米コロンビア大教授)、ジョージ・アーサー・アカロフ(米カリフォルニア大バークレー校教授)、マイケル・スペンス(当時、米スタンフォード大教授)らの「非対称情報下の市場経済」で語られたもので、彼らは2001年に、この学説によってノーベル経済学賞を受賞しました。

消費者と業者がそれぞれにもっている情報の間に圧倒的な差があるとき、その市場ではどのようなことが起こるのか・・・。「レモンの原理」では、このことを説明しています(レモン=傷物の中古品という意味)。

たとえば、中古車市場で、200万円の価値がある良質な中古車と、ほとんど価値のない中古車が半数ずつあるとします。その車をA車とでもしておきましょう。ここでは、中古のA車の相場を100万円とします。

仮にあなたが、200万円の価値のあるA車を100万円で買った場合、「足回りもよいし、カーナビも3年落ちぐらいで十分使える」としたら、どうでしょう? 「得をしたな」と思いませんか?

では、その逆はどうでしょうか? 50万円ぐらいの価値しかないのに100万円で買ったら、「ブレーキは滑るし、カーナビには新しい道も表示されない」と、あなたはきっと「損をした」と思うはずです。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

ページのトップへ

ウチコミ!