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自然災害がもたらすリスク

森田雅也森田雅也

2016/07/28

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今回は、自然災害がもたらす不動産投資についてのリスクをご説明します。日本において自然災害といえば、地震や津波、落雷、噴火などがあります。この中でも地震は、日本が地震大国と呼ばれるほど、ここ数十年の内に大地震が何回も起きている天災です。

なぜ自然災害と不動産投資が関係しているの?

不動産投資は、いわゆる実物資産であり、その不動産が存続していることによって利益につながります。
しかし、地震などの自然災害によって、建物が倒壊してしまったらせっかく購入した資産の運用ができなくなるというリスクをはらんでいます。また、自然災害によるリスクはいつ起きるのか全くわからないという特徴を持っています。
そこで、自然災害によるリスクを軽減する方法を3つにわけてご説明します。

耐震構造を備えた建物にする。

まず、1つ目のリスク軽減方法は、できるだけ建物の構造を耐震構造にすることです。建物の構造は、木造、軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の順番で耐震性があります。不動産を購入・建築するときには、どのような造りになっているのかも購入の判断材料にしてみるといいでしょう。
また、既存建物の場合には、築年数や、建築時期によっても耐震性が異なります。建築基準法は、1981年に現在の耐震基準を定めていますが、これは過去の大規模震災における建物の倒壊によって、耐震性を従前の耐震基準より強化した基準になっています。この耐震基準を従前の耐震基準と区別するために「新耐震基準」と呼んでいます。このように建物の建築時期が1981年より後であるかなどによっても、震災による建物の倒壊というリスクを軽減する指針の一つにもなります。
ほかにも、制震構造や、建物の揺れを通常の5分の1から3分の1にまで抑える免震構造などがあります。

保険に加入する。

2つ目のリスク軽減方法として、地震保険に加入するという方法があります。この地震保険、実は単独で加入することができません。必ず、火災保険とセットで加入することになります。 しかし、地震保険に加入すると地震だけでなく、噴火または、これらによる津波を直接または間接の原因とする火災、損壊、埋没、流失を補償してくれます。 また、地震保険は保険金の支払いを確実に行うために、民間の保険会社と政府が共同運営しているという公共性の高い保険制度です。したがって、保険料はどこの会社も変わりません。 ただし、保険の対象としている物件の場所によって料金が違ったり、建物の構造や、新耐震基準が適用されている建物は、保険料が割引になるなどの料金設定になっています。
これらを参考にして、保険に加入しておくと万が一には安心できますが、掛金を増やしすぎて投資に失敗することもありえます。 したがって、リスクと出費とを十分に考えて加入するか検討することをお勧めします。

不動産を遠隔地に所有する。

3つ目の方法は、これから投資物件を、複数所有しようとしている人のためのリスク削減方法です。それが、投資物件を遠隔地に所有するという方法です。一例として、北海道と沖縄に物件を所有するという方法になります。どちらか一方が地震の被害を受けたとしても、もう一方の投資物件によって、収入を得ることが可能です。 この方法によると、全ての投資物件が地震による被害を受けにくいという状況を作り出せます。
自然災害には、このようなリスク軽減の方法があることを念頭において、不動産投資について考えてみるといいでしょう。

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この記事を書いた人

弁護士

弁護士法人Authense法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)。 上智大学法科大学院卒業後、中央総合法律事務所を経て、弁護士法人法律事務所オーセンスに入所。入所後は不動産法務部門の立ち上げに尽力し、不動産オーナーの弁護士として、主に様々な不動産問題を取り扱い、年間解決実績1,500件超と業界トップクラスの実績を残す。不動産業界の顧問も多く抱えている。一方、近年では不動産と関係が強い相続部門を立ち上げ、年1,000件を超える相続問題を取り扱い、多数のトラブル事案を解決。 不動産×相続という多面的法律視点で、相続・遺言セミナー、執筆活動なども多数行っている。 [著書]「自分でできる家賃滞納対策 自主管理型一般家主の賃貸経営バイブル」(中央経済社)。 [担当]契約書作成 森田雅也は個人間直接売買において契約書の作成を行います。

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