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HRC

高強度コンクリート
コンクリートの建造物といえば、RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄筋鉄骨コンクリート造)、S造(鉄骨造)が有名ですが、超高層建築物になると、HRCという材料が使われることがあります。
HRCとはHard Reinforced Concrete=高強度コンクリートのこと。耐久性の向上を目指して開発されたコンクリートです。
HRCは設計基準強度が大きいため(土木では50~100N/mm平米、建築では設計強度が36N/mm平米を超える)、様々なメリットがあります。
鉄筋コンクリート造との比較
メリットの説明をする前に、鉄筋コンクリート造と簡単に比較しておきましょう。知ってのとおり、鉄筋コンクリート造の建物は頑丈で、団地などでは築50年を超えるものも珍しくありません。もちろん放置すれば傷んでしまいますが、きちんとメンテナンスをすれば50~100年持つと言われています。しかし実は、鉄筋コンクリート造で採用されるラーメン構造や壁構造は、広い居住空間を造るのには向いていません。また、耐震基準をクリアするためには建物が高層化するほど下の階の躯体を大きくする必要があり、高層建築にも向いていないのです。
これに対し、HRCは水分量が極端に少ないという特徴があります。これによりコンクリートの強度が増し、柱や梁の断面寸法を小さくしたり柱と柱の間隔を広げたりできます。また、水分が少なくなると、コンクリートの中性化が抑制されます。このため、鉄筋の劣化を防ぐ効果が得られます(コンクリートがアルカリ性であることで鉄筋の酸化を防いでいます)。
ただし、水分量が少ないコンクリートは作業性が悪くなります。そこで、化学混和剤を同時に用いることで柔らかくしています(ただし適切な使用量を守らないと凝固までに時間がかかったりします)。
メリットとデメリット
HRCは超高層建築物を可能にするほか、先に鉄筋の劣化を防ぐ効果があると述べましたが、鉄筋の長寿命化は建物の長寿命化につながります。また、強度が強いため柱の数を減らし、広く開放感のある部屋を造ったり、ホールや屋内スポーツ会場など大規模建造物を実現することが容易になります。
デメリットとしては、コストが高いことが上げられます。そのため施工方法や使う場所など、何らかの工夫によってコスト削減を図ることがあります。もう1つ、コンクリート内部の気泡が少ないために火災の際には水分が気化・膨張し、「爆裂」という現象が起こる可能性があります。ただしこの現象についてはあらかじめ水蒸気の逃げ道を用意するなど、様々な対策が取られています。