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請負契約

報酬の対象は「労務」か「仕事」か
契約には様々な形態があります。例えば正社員は定年までフルタイムで働く前提の「無期雇用」契約ですが、契約社員は契約期間が決まっている「有期雇用」契約となっています。一方で、世の中には労務の供給を目的としない契約もあります。請負契約もその1つです。
請負契約の目的は「仕事の完成」です。例えば建物の建築工事、物品の運搬などを依頼した場合、「頑張ったけれどもここまでしかできませんでした」というのでは困りますよね。請負契約では、当事者の一方がある仕事を「完成」させ、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束します。
民法では請負契約について次のように規定しています。

1)請負契約による報酬は目的物の引渡しと同時に支払わなければならないこと
2)引き渡した目的物が契約不適合の場合には、注文者は、補修等の追完請求、報酬減額請求、損害賠償請求、契約解除をすることができること(ただし、与えた指図等によって生じた不適合を理由にすることはできない)
3)契約不適合による請求等をするためには、原則として、不適合を知った時から1年以内にその事実を通知しなければならないこと
4)請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できること、等々
建設業法は民法に優先される
さらに建築工事の場合、建設業法が特別法として適用されます。特別法とは一般法より効力範囲が制限された法律のことで、同一の事項については特別法が優先されます。これは特別法のほうがその分野に特化しているからで、「特別法は一般法を破る」「特別法は一般法に優先する」などと言われます。例えば2020年に話題になった「検察官の定年延長を可能にする検察庁法の改正案」では、検察OBが「検察庁法に規定があるものについては同法が優先適用される」という意見書を提出して、国家公務員法を適用することに反対しています。
建設業法では第18条、第19条、第24条などに請負契約が規定されています。

建設業法第18条(建設工事の請負契約の原則)
建設業法第19条(建設工事の請負契約の内容)
建設業法第24条(請負契約とみなす場合)

第24条には「1.委託その他いかなる名義をもってするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する」とあります。これは「請負」という名義を用いないことによる脱法行為を防ぎ、実質的に報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約はすべて建設工事の請負契約とみなして本法の規定が適用される、というルールを規定したものです。