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アクリル板

アクリルはプラスチックの一種
普段、何となく「プラスチック」と認識している素材は、実はアクリルかもしれません。プラスチックは世界中で最も多く使われている材料の1つですが、プラスチックは合成樹脂の総称であって、多くの種類が存在します。アクリルはプラスチックの中で熱可塑性樹脂(熱によって形を変える)に属し、ポリエチレンやポリ塩化ビニルなどと同じ「汎用プラスチック」に分類されます。アクリル板とは板状に加工されたアクリル素材のことを指します。
透明で加工がしやすい
アクリル板は透明性(光線透過率93%はガラスを超える)、成型性に優れており、ディスプレイ、ショーケース、水槽、看板など、様々な用途に使われています。建材としてはカーポートやサンテラス(サンルーム)の屋根材、樹脂ガラスなどに使われます(ちなみに通常のガラスと比較すると強度や重量などではアクリルが勝るのですが、傷や熱に対する強さではガラスの方が優れています。強化ガラスであれば万が一割れても飛び散らず、耐熱温度は200℃に達します)。
アクリル板は切断や穴あけはもちろん、曲げたり接着することもできます。また、印刷加工や彫刻などを施すことも可能です。耐用年数は10~15年と言われており、耐久性・耐候性が高いにもかかわらず重量が軽いという利点があります。さらに破損してもガラスのように飛び散る事はありません。
強度ではポリカーボネートに一歩譲る
ただし近年では、強度が求められる用途ではポリカーボネートに取って代わられることが多くなっています。ポリカーボネートはiPhoneの外装にも使用された素材です。アクリル樹脂は透明性が高く硬いのですが、傷つきやすく割れやすい性質があります。ポリカーボネートは透明性ではアクリルに劣りますが、衝撃に強く割れにくい特徴があり、防弾材料にも採用されています。耐候性ではアクリルが勝りますが、アクリルは可燃性なのに対し、ポリカーボネートには自己消火性(熱源がなくなると自ら消火する)があります。また、ポリカーボネートは幅広い温度条件下で使用可能であり、冷蔵庫や電子レンジでも使えます(ただし、割れないが傷つきやすい、有機溶剤や界面活性剤に弱いという弱点もあります)。これらの特徴から、ポリカーボネートは安全が求められる建物(保育所や学校など)の開口部やパーテーション、スマホケース、自動車等のランプ、コーヒーメーカーなどに使われています。